beacon

[被災地に希望を ベガルタ戦士の誓い]vol.13_GK林卓人

このエントリーをはてなブックマークに追加

 東日本大震災による被害を受けたベガルタ仙台は4日から千葉・市原市内でキャンプをスタートさせた。ゲキサカでは今回、仙台イレブンの想いを取材。第13回はGK林卓人です。仙台不動の守護神は今季も健在。震災というハンデを言い訳にせず「100%の努力と100%の勝利への執着心」を見せ、被災地を勇気づけることを誓った。

以下、一問一答

―千葉でキャンプが始まりました。シーズン再開も近づいていますが、心境は?
「選手個人個人、いろんな思いもあると思いますし、僕らはほんと、Jリーグが再開すると決まったので、そこに集中してやっていくのが仕事だと思う。そこで、いいプレーができるように集中してやっていきたいですね。久々に芝生ので上でやれているので、そういう喜びをかみしめながらやっています」

―やはり複雑な心境ですよね。中には仙台で活動できたら、という選手もいらっしゃいました。
「個人個人、そういう思いがあるのは仕方ないことだと思う。とはいえ、ここでやると決まった以上は仕方のないこと。気持ちは仙台から離れたわけではないですし、そういう気持ちを持ってやりたい」

―震災時はどこにいましたか?
「試合の前日だったんで、クラブハウスでマッサージを受けていました。近くに倒れるものはなかったので、怪我はなかった。でも、かなりの揺れでしたね。すぐにテレビをつけたけど、停電でつかなかったので、まずは家族のもとに帰ろうと急ぎました」

―シーズン再開に向けてこのキャンプの目標は?
「今年最初からやってきたことと変りなくやることですね。災害で中断になったけど、キャンプ中から目標を立てて日々、成長したいと思っていた。災害で中断せざるおえなかったけど、改めて、日々レベルアップできるように練習したい。キャンプでしっかりやってきた分、そんなに不安もないですし、すぐにコンディションも戻ると思う。震災でコンディションが落ちたとか言われたくない。僕らはプロなので言い訳にはしたくない。こういうことがあっても、逆にレベルアップできたといえるくらいやっていきたい」

―J1復帰から2年目。課題は攻撃だと思いますが、守護神としては持ち味の堅守をJ2時代のように発揮したいところです。
「去年は個人的にふがいなかった。今年はヨウヘイさん(佐藤洋平GKコーチ)と話して、こういう練習をやりたいと話しながらやれている。自分を成長させるようにやっていきたいですね。そして、まずは試合に出続けたいですね。継続して出るのは大事なことなので。でも、チーム内の競争は激しいので、勝ち抜きたいです。そうすれば、ピッチに出た時は自信を持って臨めると思う」

―みなさん被災地を元気づけたいと話されていますが、約束というか、林選手はどんなプレーを被災者に見せますか?
「まずは数字的なことよりも、僕らはプロである以上、試合をしたら結果が、勝ち負け、引き分けの結果がついてくる。絶対に勝ちますとは約束できないけど、勝利に向かって100%でプレーすることは約束できるし、それに対し、100%の努力をすることは約束できること。まずはそこに集中したい。こういうことを乗り越えて勝利を手にすることで、被災した方々に勇気を届けられることを信じてやりたい。つらいことは忘れることはないと思うけど、新聞の片隅でもテレビのちょっとしたニュースでも、勝ったという結果で一瞬でも笑ってもらえたらうれしい。そういうものを届けられるようにしたい。勝利は勇気づけることになると思うので」

改めて被災地の方にメッセージをお願いします。
「つらいこと、ハンデを乗り越えて復興に向かっている人がいる。僕らはサッカーをやれてて幸せ。もっと苦しい状況で頑張っている人がいる。被災地の人たちも上を向いてやっていると思うので、お互いに、変な言い方ですが、刺激し合ってやっていきたいです」

(文 近藤安弘)

TOP