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[MOM742]鵬翔DF原田駿哉(3年)_4戦1失点の堅守支えるCBが千金ヘッド

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 立正大淞南1-3鵬翔 フクアリ]

 相手のお株を奪うセットプレーで勝負を決めた。鵬翔(宮崎)はFK2本、CK1本からDF3人がゴール。「トリックプレーは必殺技」(南健司監督)の立正大淞南を相手に、策を講じずシンプルにセットプレーから得点を重ねた。

 前半30分、右45度からのFK。DF芳川隼登(2年)のキックに相手GKは飛び出したが、ジャンプできず、DF原田駿哉(3年)が打点の高いヘディングで無人のゴールに押し込んだ。「とにかくそらそうと。最初は自分がゴールしたかも分からなかった」。無我夢中のゴール。「前半からセットプレーで点を取りに行こうと思っていた。最高にうれしい気分」と満面の笑みをこぼした。

「立正大淞南さんはセットプレーが得意で、いろんなパターンを持っている。そのセットプレーで逆にうちが点を取ったので相手は動揺したし、こっちは勢いに乗った」。松崎博美監督はそう振り返る。直後の前半36分にはMF小原裕哉(2年)の左CKから相手GKのファンブルを逃さず、DF柏田崇走(3年)が追加点。前半で2点のリードを奪った。

 後半8分には立正大淞南FW田路大樹(3年)の突破に対し、PA内で原田がファウル。PKを献上し、MF隅田竜太(3年)に1点を返された。「今まで無失点だったので悔しい」と原田が悔やむ今大会4試合目で喫した初失点。1-2と1点差に追い上げられたが、勢い付く立正大淞南の出はなをくじいたのは、またしてもセットプレーだった。失点から5分後の後半13分、小原のFKに芳川が頭で合わせ、3-1。勝利を決定づけた。

「(PKを取られたあとに)みんなが自分に声をかけてくれて『まだ行けるぞ』『次だ次だ』って。そうしたら自分の相棒である芳川が決めてくれて、泣きそうになった」。芳川とCBでコンビを組む原田はそう言って、自らのミスを帳消しにしてくれたチームメイトに感謝した。

 4試合を戦い、PKによる1失点のみ。宮崎県大会も、失点は決勝で喫したPKによる1点のみだった。普段から宮崎産業大など大学生相手に練習試合を組む鵬翔は、夏の大阪遠征でも関西大や阪南大などと対戦。「強い相手と対戦することで、何点取られてもいいからしつこく守備をするというのが身に付いた」と松崎監督は指摘する。

 格上相手の実戦で鍛えられた堅守。「粘り強く守備からやってきたし、大学生相手に点は取られていたけど、粘り強さでは負けてなかった」と胸を張る原田は県勢としても初めて乗り込む国立の舞台へ、「宮崎の人たちに恥じないプレーを見せたい」と胸を躍らせた。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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