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[MOM611]東京VユースFW高木大輔(2年)_首位に「スイッチ入れた」脅威の走力

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEAST
[7.1 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 浦和ユース1-5東京Vユース 埼玉第2G]

「間違いなくゲームのスイッチを入れたのは彼の走力だったと思う。ああいうメンタリティは世界で戦うためにも必要」

 東京ヴェルディユースの冨樫剛一監督が絶賛したのはFW高木大輔。父・豊氏はプロ野球DeNAのヘッドコーチで2人の兄は清水、ユトレヒト(オランダ)でそれぞれ活躍と血統の良さに注目が集まりがちだが、この選手のメンタリティの強さと得点力は同世代のライバルたちに差をつけるほどの武器となっている。

 この日は前半7分にMF中島翔哉からのラストパスを引き出すと、GKに距離を詰められて阻まれながらも、こぼれ球に誰よりも早く反応して右足で先制ゴール。後半25分にはMF楠美圭史のスルーパスをPAで受けるとGKに触られながらも「入ってくれ、という気持ちが強かった」と2点目のゴールを押し込んだ。 

 チームに勝利をもたらした2発。ただ得点力以上に相手の脅威となっていたのは、指揮官も讃えたその走力だろう。前線を縦横無尽に走り回り、プレッシャーを外されても2度、3度とあきらめずにしつこくボールを追い回す。特に後半、展開を見切ることなく、常に全力で走り続けて浦和ユースのリズムを崩していた。ガス欠覚悟で体力のリミットが尽きるまで走り続けたFWは後半32分に交代。自身は「まだまだ上げていかないといけない」と反省していたが、メーターが振り切るまで走り続けた背番号9に先導されたチームは、5ゴールを挙げて日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 関東大会決勝で敗れている相手に雪辱した。

 注目FWはユースではなく「トップでどう通用するか」と上の世代を見据えてトレーニングを続けている。基礎技術の向上に手ごたえをつかみ、体幹トレーニングの成果か身体が一回り大きくなった高木はトップチームに入ってもボールを収められるようになってきた。ただ、トップで戦うためにはまだ足りない。FWとして生きていく以上、得点力の向上は必須。またユースで1試合走りきることができなければ、トップではより厳しくなるということを自覚している。それだけに「疲れたときに耐えられなくなっている。苦しい時にどうできるか」。現状に満足することなく突き詰めて成長を続けてきた逸材は、こだわってまずはトップで必要とされる選手になる。

(取材・文 吉田太郎)
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