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[MOM713]青森山田GK田中雄大(2年)_“お祭り男”が守護神負傷退場のチーム救う!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 青森山田1-1(PK4-2)野洲 駒沢]

 青森山田の“お祭り男”が、守護神負傷退場のV候補を救った。青森山田は前半途中にGK野坂浩亮(3年)が相手の決定機を阻止した際に野洲FWと交錯。腹部を負傷した野坂は前半こそ痛みをこらえてプレーを続行したが、立っているのもやっとの状態でハーフタイムでの交代を強いられてしまった。

 チームにとっては守護神離脱の危機。だが後半開始から投入されたGK田中雄大(2年)が青森山田を救う。後半、ギアを上げて怒涛の攻撃を繰り広げてきた野洲に同点ゴールを許してしまったが、それでも10分には思い切った飛び出しで相手MFとの1対1をストップ。チームメートの支えもあり、勝ち越しゴールを許さなかった。

 田中は「ずっと出れなくて準備だけしてきたので、『来たか』と思って。だけど、その準備の仕方が良くなかったことがこの結果になった。全然納得をしていないです。本当にチームに助けられた感じです」と全く満足をしていなかった。自身が落ち着くことができなかったために、守備陣の負担となってしまったことを悔やんだ。後半押し込まれたのは「自分の責任」と首を振る。

 ただ、PK戦で見せた彼の意地が優勝候補を2回戦へ導いた。「(PKを止めただけでは)恩返しできていないんですけど、(後半の40分間)何もできなくて、ここ(PK戦)でも何もできなくてここで負けたら、本当にもう先輩たちに顔が上がらない。どうしても勝ちたかった」というGKは相手にリードされて迎えた2人目のキックに対して完璧な反応。左へ跳んで弾き返した。追い込まれたチームを救うビッグセーブ。田中にプレッシャーを掛けられた野洲は続く3人目も失敗し、青森山田が白星を引き寄せた。

 普段は「サブなんで、雰囲気とか大事なのでそれをつくろうとしている」という盛り上げ役がピッチで見せた好守。黒田剛監督は「ある意味、お祭り男なので、辛抱してよくやってくれたと思います。よく声も出るしチームを盛り上げたりすることが大好きな男なので、そういう意味では緊張もなくゲームに入ってくれた」と緊急出場とながらも最低限の役割を果たした2年生GKを讃えていた。

 病院へ向かう野坂が背中を押してくれていた。田中は「『ノサ(野坂)、行ってくるよ』と言ったら、『おぅ、頼んだ』とだけ言われてピッチに入ってきました。プレッシャーは正直凄かったです。周りから(勝利の立て役者と)言われるのは嬉しいですけど、それは自分の他のメンバーが頑張ってくれたから。みんなが守備に献身的にやってくれた。こうやって自分が入っても逆転負けしなかったのは、神様がチャンスをくれたからと思った。プレーのことはまず切り替えて、次どう勝つかを考えていきたい」。野坂の負傷の状態にもよるが、現時点では2回戦も田中がゴールを守ることが有力。再び出番が与えられれば、田中はこの日の無念も力にしてゴールを守りぬく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)

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