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[選手権]2試合連続無得点も、失点ゼロ。堅守・鵬翔がPK戦制し「神がかり的」な16強進出!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 鵬翔0-0(PK4-3)帝京大可児 麻溝]

 堅守の鵬翔(宮崎)が、技巧派軍団・帝京大可児(岐阜)を退けた。2試合で挙げたゴールはゼロ。しかし失点もゼロ……。PK戦を2つモノにした末の「神がかり的」(松崎博美監督)な勝ち上がりである。

 帝京大可児の強みは、パスで相手を振り回す攻撃サッカー。サイドバック、ウイングがサイドに高く広いポジションを取り、攻撃に人数をかける。今日も序盤から相手を外に引っ張って生まれたスペースを、AFC U-16選手権MVPのMF杉本太郎(2年)はもちろん、MF三島頌平(2年)、MF野倉大輔(3年)の両ボランチがスペースを上手く活用し、時にはドリブルもまじえてゴールに迫る。しかし「低い時間で持っている時間が長かった」と迫田雄一監督は悔いる。中盤までボールを運びつつ、エリア内に築かれた鵬翔の“厚い壁”を前に減速してしまう場面が多かった。

 鵬翔はロングボールと激しいチェイシングで前に出る。守備は「簡単に飛び込まないで遅らせる。人間を増やしてブロックを作る」(松崎監督)という狙いが奏功。球際の強さと粘りも、帝京大可児を上回っていた。鵬翔が帝京大可児にボールを持たれつつ、散発的なセットプレー以外は危険な場面を作らせない前半40分だった。

「いい守備をしている、しっかりブロックを作って、あとは声の確認をもうちょっと」。前半の展開に手応えを得た鵬翔・松崎監督は、そう声をかけて選手を送り出した。後半も0-0で試合を進め、後半22分には本来エースながら、県大会決勝で半月板を傷め「15分くらい限定」(松崎監督)の起用になっている俊足FW中濱健太(3年)を投入。中濱は27分にはFW北村知也(1年)の落としからエリア内に抜け出すなど、見せ場を演出する。

 鵬翔にとって最大のピンチは後半36分。帝京大可児は杉本、FW朝見郁哉(3年)がワンタッチで前後に揺さぶり、途中出場のMF水口命(3年)がミドルシュートを狙う。しかしシュートはバーを叩いて、鵬翔の堅陣を破れない。

「PKになった瞬間、勝ったと思いました」(浅田卓人)。鵬翔にとっては2試合連続のPK戦で、焦りや戸惑いは無かった。帝京大可児は3人目・野倉がバーに当て、先攻の鵬翔がアドバンテージを得る。鵬翔も5人目・川崎皓章(2年)が相手GKのブロックに遭い、彼らの前途に一瞬、影が差した。ここで立ちはだかったのが頼もしき守護神。浅田卓人(3年)が右に跳んで帝京大可児の5人目・水口のシュートをストップし、PK戦は4-3で決着した。

 鵬翔イレブンが目指すのは「宮崎県勢初の国立」(矢野大樹)。目標のベスト4まで、あと2勝だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 大島和人)

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