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[MOM722]鹿児島城西MF濱上大志(2年)_ヘッドギアに隠された技術

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権1回戦 前橋育英0-1鹿児島城西 駒場]

才能集団・前橋育英(群馬)の勢いを止めたのは、本来のトップ下からボランチに入ったMF濱上大志(2年)の働きが大きかった。

普段ワンボランチだが、濱上が入ることでスペースを消しセカンドボールを拾いまくった。しかもただ拾うだけでなく、そこからカウンターをしかける起点となり続けた。1点リードで迎えた後半、当然前橋育英は攻撃を強めてくる。守備に奔走される機会が増える中でも冷静だった。「(守備に下がり)前に味方がいない時は、キープしてためるかシュートで終わること」を意識した。
ただセカンドボールを拾ってもすぐに奪われてしまっては意味がない。ボールを拾うと柔らなボールタッチで相手のチェックをかわす。
圧力を強めている割に前橋育英が波状攻撃をしかけているように見えなかったのは、濱上の存在があったからだ。
前橋育英としては、セカンドボールを拾って二次攻撃を仕掛けたいボールが逆に拾われカウンターの起点になってしまってはたまったものではない。

濱上は試合中、常にヘッドギアをつけている。ここ最近に限った話ではない。中学1年の試合中に、頭蓋骨を骨折した。
「競り合った際に頭から落ちて、さらにその上に相手が乗ってきた。正直、今でも(プレーする)怖さは少しあります」。
骨折した中学1年の9月~中学2年の終わりまで、サッカーをできない時期が続いた。
「対人プレーができないその間はずっと基本プレーをやっていました」という苦難の時間が、現在の技術力の基礎となっている。

「2トップのFW加治佐楓河(2年)とFW向高怜(2年)とは息が合っています。同じ学年ですし」と語る濱上。小久保・鹿児島城西監督が格上と判断する相手との対戦が続く今大会では、どうしても攻撃陣が手薄になりがちだ。しかし鹿児島城西には個の強い2トップがいる。そして、彼らを活かすのに濱上の存在は必要不可欠。快進撃を続けるためのチームのキーマンは、緊張から入った選手権を「楽しい」と感じ始めている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文/伊藤亮)


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