beacon

[MOM724]鵬翔MF矢野大樹(3年)_無失点の快進撃を支える“目立たない男”

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 鵬翔0-0(PK4-3)帝京大可児 麻溝]

 とにかく地味な選手である。体格は170cm、61kgと平凡。「パスセンスはあまりない」(松崎博美監督)、「『あまり攻撃に行くな』と監督からは言われている」(矢野)というから、技術も推して知るべしだ。しかし2試合連続無失点という鵬翔の堅守を支えているのは、間違いなくMF矢野大樹主将(3年)のプレーだ。

 矢野はボランチで起用されているが、登録はDF。昨年、今春はCBで起用され、サイドバックの経験もある。今夏の県総体で日章学園に1-4と大敗した試合をきっかけに、彼は中盤の底にポジションを移した。「DFに近いMFですね」と松崎監督が説明するとおり、最終ラインのすぐ手前で穴を塞ぎ、相手を潰すのが彼の任務だ。矢野本人も「CBに比べると思い切りボールを取りに行ける」というポジションで、やり易さを感じているようだ。「しっかり人も動かせる」(松崎監督)ことも彼の強みで、守備組織の構築における貢献も小さくない。

 あくまでも守備の人である。「獲ったボールは、ゲームメークをしてくれる選手にすぐ渡す」と彼が明かすとおり、攻撃面の印象は2試合を見てもほとんど残っていない。声を出して周りを動かし、中盤で攻撃の芽を摘み続けるプレーを一言で表現するなら、目立たなくとも欠かせない裏方だ。鵬翔がどんなチームか知りたければ、背番号5のプレーに注目して欲しい。地味ながらも良質な仕事に、鵬翔の強みが潜んでいる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 大島和人)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

TOP