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[MOM731]桐光学園FW野路貴之(3年)_プリンス関東1部得点王、貫禄の2G1A

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[1.2 全国高校選手権2回戦 桐光学園4-2四日市中央工 三ツ沢]

 激戦区・プリンスリーグ関東1部得点王が早速本領を発揮した。前回大会準優勝の四日市中央工(三重)との注目対決で2得点1アシスト。FW野路貴之(3年)が桐光学園(神奈川)の初戦突破最大の立て役者だった。

「ディフェンス陣がしっかり粘ってくれたので、自分たちは安心して攻撃できました」というエースストライカーは前半25分、右SB大田隼輔(3年)がPAへ放り込んだロングボールに反応すると、絶妙なタイミングでヒールパス。コンビを組むFW市森康平(3年)の先制ゴールを華麗にアシストした。このワンプレーで試合の流れをぐっと引き寄せると、自らのゴールで一気にその軸を傾ける。

 前半35分、GK長津大裕(2年)のロングキックが風に乗って大きく前線で弾む。先を行くDFの前に強引に身体をねじ込んだ野路は右足でプッシュ。飛び出したGKは突然コースの変わったボールに反応することができずにそのままボールはゴールネットへと吸い込まれた。そして直後の36分にはMF橋本裕貴(3年)の右クロスを技ありヘッドでゴール右隅へ流し込んで2ゴール目。前半に生み出した3ゴールが四中工に最後まで重くのしかかった。

 プリンスリーグでは山梨学院(山梨)戦で1試合5得点を記録したのをはじめ、柏U-18戦やF東京U-18戦でもゴールを決めるなど16得点で得点王に輝いた。プリンスリーグで対峙していたJクラブユースチームのDFにはトップチーム昇格を決めた実力者もいる。その中でゴールにこだわってプレーしてきた。「DFとの駆け引きだったり、自分がいい状況に持っていけるような最初のアクションを考えるようになった。そこが点を取れる要因だと思います」。この1年間、厳しい相手に揉まれながら、絶対的なFWへ成長したストライカーはその実力を選手権でも披露した。

 神奈川県大会ではケガの影響もあって無得点。FWとしてゴールで貢献できなかったことが悔しかった。この日挙げた目覚めの2発について「FWということで2得点挙げられたことは良かった」と素直に喜んだが、「(チームが)苦しい時にもっと前でキープできれば、もっとディフェンスは楽になったと思うので改善していきたい。(勝ったことについても)ホッとしているけれど、次の試合へ向けて準備しなければいけない」と満足することはない。

 激しい競り合いも厭わず、身体を張った守備とボールキープがチームを鼓舞。また自主練を重ねて身につけたシュートの巧さ、DFを外す動きはV候補・桐光学園の大きな武器だ。この日、会心のスタートダッシュを決めた野路がチームの悲願を成し遂げるために今後もゴールを積み重ねる。

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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