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[MOM744]鵬翔MF小原裕哉(2年)_憲剛にあこがれる司令塔が芸術FK

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.12 全国高校選手権準決勝 鵬翔2-2(PK4-3)星稜 国立]

 1万9483人の観衆の度肝を抜いた。0-1で迎えた前半31分、鵬翔(宮崎)がゴール前ほぼ正面の位置でFKを獲得。ポイントには3人が立った。最初はDF日高献盛(3年)が「自分が蹴る」と主張したが、MF小原裕哉(2年)は譲らなかった。

「自分は一回蹴っていて、感触が残っているから、もう一回蹴らせてほしい」。一度はFKを壁に当てていた小原だが、予感があった。フィールド選手全員が自陣PA内に戻り、横一列に壁をつくる星稜(石川)には180cm以上の選手も3人いた。「(壁は)高かったですね」。そう振り返る2年生の司令塔は、それでも迷わず右足を振った。

「GKもボールが見えてないので、枠に行けば入ると思った。あまり壁は見ずに、とにかく枠内に蹴ろうと」。壁の上を越えたボールはゴール左隅に突き刺さる。夢の国立競技場で決めた今大会初ゴール。「最高ですね。初ゴールだったので、うれしかった」と、白い歯をこぼした。

 宮崎市内の練習場には「目指せ、国立!」と書かれた看板を掲げ、練習後に選手全員でその“合言葉”を唱え、看板の前で校歌を歌う。同校にとって、そして宮崎県勢にとっても悲願だった国立の舞台。そこで決めた芸術FKは、小原自身が「セットプレーもスルーパスもロングパスも、キックの種類が豊富」とあこがれる日本代表MF中村憲剛(川崎F)を彷彿とさせるものだった。「(憲剛に)近いプレーができたんじゃないかなと思う」と照れ笑いを浮かべる表情にも充実感がにじんだ。

 14日の決勝では、同じく初の決勝進出を決めた京都橘(京都)と対戦する。互いに初の日本一を懸けた最後の決戦。小原は「ここまで来たら絶対に優勝して、監督を胴上げしたい。1年のときからベンチに入れてくれて、ここまで連れてきてくれたことに感謝している。3年生のためにもがんばりたい」と力強く誓っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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