beacon

[選手権予選]決定機を確実にモノにするチームへ、全国総体準Vの流経大柏は6発快勝も向上誓う:千葉

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.19 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 千葉経済大附0-6流通経済大柏 流通経済大柏G]

 19日、第92回全国高校サッカー選手権千葉県予選決勝トーナメント1回戦1日目が行われ、今夏の全国高校総体準優勝の流通経済大柏はFWジャーメイン良(3年)のハットトリックの活躍などによって千葉経済大附に6-0で快勝した。流経大柏は26日の2回戦で東京学館と対戦する。

 ライバル・市立船橋に2-4で競り負けた全国総体決勝から、ケガもあり先発6人が入れ替わっている流経大柏。首位を走るプレミアリーグEASTでも3連敗を喫するなど一時不調に陥っていたが、チーム内競争を経て壁を破り、より高いレベルを目指すチームになってきている。プロ入り濃厚のU-18日本代表候補MF青木亮太とMF小泉慶(ともに3年)をはじめ、1年時から注目を集めてきた黄金世代の目標は全国最激戦区・千葉を突破し、今度こそ日本一を掴むこと。この日はMF秋山陽介やMF西槇翼(ともに3年)をケガで欠く中での試合だったものの、1年生の右SB本村武揚や本田裕一郎監督が「チームで1、2番に足の速い2人」という田中隆太(3年)と小川諒也(2年)のCBコンビといった新戦力も勝利に貢献して快勝した。

 流経大柏は前半3分、FW森永卓(3年)のスルーパスから全国総体得点王の右MF立花歩夢(3年)が決定的な右足シュート。11分、18分には青木が鮮やかな個人技からゴールを襲い、U-18日本代表候補の左SB石田和希主将(3年)の仕掛けなどで相手ゴールへ迫るが、流経大柏の大応援団に負けじと控え選手たちがゴール裏で声を張り上げていた千葉経済大附は、PAでの身体を張った守りとMF阿部将大(2年)やFW鈴木海人(3年)のスピードを活かした攻撃で対抗する。
 
 相手の強固なブロックの前にやや攻めあぐねていた感のあった流経大柏だったが24分、右サイドからのスルーパスに反応したジャーメインが右足で豪快にゴールを破って先制。さらに27分には本村のアーリークロスに飛び込んだジャーメインが左足の“カンフーキック”でミート。高速FWのスピードを活かした連続ゴールで2-0としたチームは素早い切り替えからの好守で相手ボールを強奪すると、MF玉城竜馬(3年)の展開から森永らの局面での切り崩し、そしてサイド攻撃を繰り返し、立花のバイシクルショットや青木のヒールリフトなど余裕を持った試合運びを見せる。

 そして後半10分には立花が自ら獲得したPKを右足で決めると、直後の11分には中央からのコンビネーションで相手を振り回し、最後は小泉のスルーパスから交代出場のFW高沢優也(2年)が左足で決めて4-0とする。さらに16分にはGKをかわした高沢がDFに倒されて得たPKを1年生MF菅原俊平が右足で決めて5点目を奪う。そして31分には左MFへポジションを移していた小川の個人技からジャーメインが左足で決めて6-0とした。

 その後も猛攻を続けた流経大柏だが、千葉経済大附GK大場昭房(3年)のビッグセーブにあい追加点を奪うことはできず。石田主将はこの点について厳しく指摘していた。「まだまだ入れられましたし、そういう意味ではちょっと怒りました。決定機があと3つ、4つあった中で、しっかり決めきれない。結局、インターハイみたいに大事なところで決められない。相手がどうこうでなく、自分たちのスタイルとして決定機を決めきるチームに戦っていくごとにしていかないと、間違いなく勝てない」。相手の2倍近い数のシュートを放った全国総体決勝でも、決定機を確実に決めていれば結果は逆になっていたかもしれない。だからこそ、一本一本に集中して得点を奪い取ることの重要性を石田は口にしていた。

 プレミアリーグEASTで得点ランキング首位に立っている青木も「(全国総体決勝は)あの試合は自分の力を出せなさ過ぎて。もう1回見なおさなければいけないと思った。1本のシュートの重みを感じて1本1本シュートをやっていかなければいけないと思っています。外していたら外しグセがついてしまう。決められるシーンは決めて決めグセをつけていかないと、プレッシャーのかかった場面では1本のシュートを決めなければいけないと分かっていても決められなくなってしまう。練習から決める意識を持っていかないといけない」と力を込めた。

 プレミアリーグではポゼッションスタイルの攻撃と高速プレスでJクラブユース勢を上回る内容と結果を残し、“高校チーム最強”と評されながら総体の県大会、全国大会決勝でいずれもライバル・市立船橋に敗れている。ただ本田監督は「今年の子は最後に意地を見せるんじゃないかと思っています」。ライバルとの雪辱戦の前に習志野や八千代などが待ち構える激戦ブロックに入ったが、青木が「選手権に出たくて(流経大柏に)来た。ラストの3年目。気合いは入っている」と語るように流経大柏は強さを見せつけ、全国舞台へ駆け上がる。
 
[写真]前半24分、流通経済大柏はジャーメイン(右)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2013

TOP