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[選手権]九州勢対決はPK決着、日章学園の粘守がV候補東福岡沈める

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[1.3 全国高校選手権3回戦 日章学園0-0(PK7-6)東福岡 駒場]

 全国高校サッカー選手権大会は3日、各地で3回戦を行った。浦和駒場スタジアムの第2試合では日章学園(宮崎)が東福岡(福岡)を0-0から突入したPK戦の末に7-6で下し、10年度大会に並ぶ2度目の8強入りを決めた。5日の準々決勝では富山一(富山)と対戦する。

 戦前の予想通り試合は完全な東福岡ペースで進んだ。試合の総シュート数もダブルスコアどころかトリプルスコアをも上回る5-16。しかし80分をしのぎ切った日章学園は、その後のPK戦に勝利し、大会史上初の別チームが成し遂げる県勢連覇へ向け、最初の山場と位置付けた一戦をものにした。

 両チームは6月の全九州高校サッカー大会準々決勝でも対戦していた。その時、日章学園は東福岡に0-2で敗れていたが、早稲田一男監督は「ある程度やれた」という感覚を持っていた。

 しかし予想通りボールを回される展開が続いた。東福岡の厚みを持った攻撃は日章学園にこれでもかというほど圧力をかけていた。ただこの日の日章学園は体を投げ出してでも止めるという気迫に満ち溢れていた。「頭が下がる思いでいっぱい」。選手が怒られた記憶しかないと話すほどの鬼軍曹も手放しで褒めるほどの奮闘だった。

 PK戦に関しては早稲田監督の気迫も結果に繋がっていた。県予選準決勝で昨年度全国優勝校の鵬翔を相手にPK勝ちをおさめた際は、キッカーの選択は選手らに任せたという指揮官だが、この試合では自らが順番をきっちり決めてPK戦に臨んでいだ。サドンデスにもつれ込む死闘となったが、後攻のプレッシャーにも負けなかったイレブンは全員がしっかり蹴り込み成功。同じ九州地区の雄を相手に番狂わせを演じて見せた。

 潰し合いとなったこともあり、九州勢は日章学園が残るのみとなった。「1戦1戦を勝ち上がることしか考えていない」と話した指揮官も、「最後の国立を拝めるように頑張りたい」と本音ものぞかせる。国立まであと1勝。敗れ去った仲間の思いも胸に、悲願を成し遂げたいところだ。

 対する2試合で9得点を奪う爆発的な攻撃力を見せつけていた東福岡だが、あと一歩のところでゴールが割れず、無得点ゲームで大会を去ることになった。個人的に今大会を無得点で終えることになったMF松田天馬(3年)も「チームに迷惑をかけた」と涙ながらに肩を落とす。だが森重潤也監督は、主力を担った3年生部員に対して「次のカテゴリーで暴れてほしい」とエールを送っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

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