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[選手権]京都橘FW小屋松、亡き恩師に捧げた今大会初ゴール

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[1.3 全国高校選手権3回戦 那覇西2-3京都橘 フクアリ]

 天国の恩師にゴールを捧げた。京都橘(京都)のFW小屋松知哉主将(3年、名古屋グランパス内定)は1-0の前半32分、相手陣内でセカンドボールを拾い、ドリブルで仕掛ける。DFを抜き切る前に素早く右足を振り、GKの頭上を越す技ありのキックで今大会初ゴールを決めた。

「DFラインが引いていたので、相手を抜くよりコースを狙った。GKも前に出ていたので、そのあたりは頭に入れて、奥を狙った。コースは甘かったけど、イメージどおりです」

 ゴールネットが揺れるのを確認すると、ピッチを膝をつき、顔の前で両手を合わせた。「昨日、自分が慕っていた恩師が亡くなったという連絡を受けて……。僕はサッカーでしか恩返しできない。ゴールを決めたらやろうと思っていた」。亡くなったのは小屋松が小学6年時の担任の先生。「勉強面だけでなく、人としてどうあるべきか、厳しく教えてもらった。いつも応援してくれていて、選手権予選のときにも手紙をもらった」。感謝の思いを込めたゴールだった。

 京都橘が準優勝した前回大会。当時2年生だった小屋松はエースのFW仙頭啓矢(現・東洋大)とともに5得点を挙げ、大会得点王に輝いた。チームとともに、小屋松自身も“主役”として注目を集める今大会。2回戦の藤枝東戦(2-0)ではPK失敗もあり、悔しさを隠せなかったが、チームメイトのMF中山俊輝(3年)が「今日の(小屋松)知哉はアップのときから集中していて、モードが入っていた」と明かすように、この日は期する思いがあった。

「得点王はあまり意識しない。自分が何点取るというより、1試合1試合、チームが勝つことだけを考えたい」。個人の結果よりもチームの勝利を求める小屋松。2大会連続となる国立への切符を懸けた5日の準々決勝では市立船橋(千葉)と対戦する。「市船に勝ってこそ、国立に立つ意味がある。相手はインターハイチャンピオン。選手権も取らせるわけにはいかない」と強い決意を口にした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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