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千葉キャプテン佐藤勇「まるでフクアリだった」

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[11.18 J1昇格プレーオフ準決勝 横浜FC0-4千葉 ニッパ球]

 シーズン終盤に山形、松本、徳島に3試合連続無失点勝利を収めた勢いそのまま。スタジアムの半分を埋める黄色いサポーターの声援に後押しされたシーズン5位のジェフユナイテッド千葉が、同4位の横浜FCに4-0の圧勝を飾り、プレーオフ決勝にコマを進めた。

 レギュラーシーズンでの2度の対戦で3-0、1-0と完勝していた相手に、序盤から突け入る隙を見せなかった。千葉の決勝進出の条件は90分での勝利のみ。先制点が分水嶺となることを承知しきったイレブンは、攻守に集中力を研ぎ澄まし、バランスを保ちながらボールを所持し、なおかつ果敢にチャンスをつくり出していった。

 先制は前半35分。センターサークル付近からボランチのMF佐藤勇人が浮き球のパスを前線へ供給すると、CB2枚と競り合いながら2枚のギャップを突いたFW藤田祥史が、飛び出してきたGKをかわしながら左足で押し込んだ。

「向かい風だったので、DFとGKの間に落とそうと思った。CB2人の距離が開きすぎることがあるのは分かっていた。狙い通りのパスだった」。アシストの佐藤勇が胸を張る。

 勝利を大きくたぐり寄せたのは後半8分のチーム2点目だ。これまたボランチのMF佐藤健太郎から出たパスをFW米倉恒貴が受け、右足でゴール。2点リードで優位な状況に持ち込んだ千葉は、佐藤勇が「相手がシンプルになって対応しやすくなったし、こっちのカウンターもはまるようになった」と振り返ったように、その後もチャンスを量産し、追加点を重ねていった。

 終わってみれば4得点の圧勝。千葉が個の力で横浜FCを上回っていたのは事実だが、90分で勝たなければ4年連続のJ2が決定してしまうという緊迫の試合で選手を鼓舞したのは、スタンドに密集する黄色いサポーターが連呼する「WIN BY ALL!」の声だった。

「J1に上がれなくても応援してくれるサポーターがこんなにいる。今日もバスを降りた瞬間、ここはフクアリかと思うくらいのサポーターがいた。彼ら彼女らに恩返ししたい。国立競技場はナビスコ杯で(05、06年と)連覇を果たした、ジェフにとって素晴らしい思い出の場所。最高の舞台です」

 キャプテンは感無量の面持ちを引き締めながら、国立での勝利を誓った。

(取材・文 矢内由美子)

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