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スコア以上の完敗だった名古屋MF小川「このままだと優勝は程遠い」

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[3.9 J1第2節 浦和1-0名古屋 埼玉]

 事態は深刻だ。開幕戦で磐田と1-1で引き分けた名古屋グランパスだが、9日に行われた第2節の浦和レッズ戦では、チャンスらしいチャンスをつくることができず。スコア上は0-1の敗戦たが、内容はそれ以上の完敗だったといえる。

 前半は前線からのプレッシングが機能し、浦和にビルドアップを許さなかった。狙い通りの試合運びを見せていたが、後半9分にMF鈴木啓太からの縦パスが中央のFW興梠慎三に入ると、そこで起点をつくられてしまう。対応が後手を踏んだ結果、最終ラインの裏をMF宇賀神友弥にとられ、ゴールを割られてしまった。

「前半と後半で、全く別の顔を見せた。先制されてからは難しくなった」と、ストイコビッチ監督は不機嫌そうに振り返った。失点の場面でミスが起きたと指揮官は強調する。「なぜかは分からないが、DFに大きなミスがあった。あの場面では藤本(淳吾)はいてはいけない位置にいた。あそこは(田中)隼磨がいるべきポジション。致命的な間違いだった」と、右サイドの連係ミスを指摘した。

「僕のマークミス」と、藤本は対応が遅れたことを反省したが「あそこは付いて行くべきだったと思う」と、プレーの選択自体は間違っていないと振り返る。「(田中)隼磨もサイドにズレて、僕を前に出そうとしてくれたけど、ダニエルが中央に人が足りないから、(田中の右に行く動きに)ストップを掛けていた」と、説明した。このため、藤本が浦和の左WBに対応しなければいけない状況になっていたのだ。

 なぜ、後半の名古屋は最終ラインの中央で人が足りなくなったのか。その理由は、名古屋の前線にあった。中盤でブロックになるべきトップ下のヤキモフスキーが、FW矢野貴章と同じ位置を取り、2トップのような形になってしまっていた。前半は中盤5人と最終ライン4人でうまく守備ブロックをつくり、浦和にスペースを与えていなかったが、これにより中盤の真ん中に穴ができ、浦和に起点をつくられた。こうして田中がサイドに出られず、藤本が引かなければいけない状況ができてしまったのだ。

 ストイコビッチ監督は「スタートが悪いのは、今季に限ったことではない。良い結果が出るように信じてやり続けるだけ。最初の1勝が大事。勝てば自信が出る」と、選手たちに、継続を求めたが、選手たちはより深刻に現状を捉えている。

 MF小川佳純は「ミスが2つ3つ重なると失点になる。守備ブロックは、1人、2人ズレるとほころびが出るので、意思の疎通をもっと取りたい」と唇を噛み、「前半のような戦い方を続けていければ良かったが、続けられないのが今の名古屋。しっかり自分たちで崩してつくったチャンスもなかったし、攻撃は早く改善しないといけない。もう1回考えないといけないし、早急に改善しないと、このままだと優勝は程遠い」と、危機感を募らせた。

(取材・文 河合拓)

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