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伊藤宏樹のリーグ最終戦に勝利の川崎F 憲剛「モチベーションMAXでした」

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[12.7 J1第34節 川崎F1-0横浜FM 等々力]

 12月4日、川崎フロンターレは13年間、川崎一筋でプレーしてきたDF伊藤宏樹の現役引退を発表した。これを受けて、奮起したのがMF中村憲剛だった。「宏樹さんが引退を発表した瞬間に、俺の中では『負けるわけにはいかない』と思っていたので。モチベーション、マックスでした」と、背番号14は話す。

 実際、この試合の中村憲剛はファイターだった。相手のボールに食らいつき、最終ラインのDF中澤佑二や、MF中村俊輔から、ボールを奪った。試合後、風間八宏監督も「あんな姿は初めて見た」と、冗談交じりに本人に伝えたというが、決勝点となる後半9分のゴールの場面も、始まりは中村憲の守備だった。自陣深くで相手の攻撃の核である中村俊からボールを奪い取り、ヒールキックで味方にボールを預ける。そこから前線へ走った中村憲は、再びボールを受けて、左のFW大久保嘉人に展開する。中に切り込んだ大久保のシュートをGKが弾いたボールを、MF大島僚太がFWレナトにつなぎ、ゴールが生まれた。

「いつでもボールを取ってやろうという気持ちはあるんですけどね」と、中村憲は笑い、「俊さんとは長く代表で一緒にやっていた時期もあったので、癖が分かっていたというか。あそこは絶対に左で持ち出すと思っていたので、先読みして。あそこを右に行かれていたら、すごい無様に抜かれていたと思うけど、ピッチの(相手から見て)右端だったから、絶対に来ると思っていました」

 伊藤と11年にわたり、一緒にプレーしてきた中村は、「まだ実感ない」というAFCチャンピオンズリーグの出場権獲得よりも、盟友の最後のリーグ戦に勝利できたことが何よりうれしかったようだ。それでも、まだまだシーズンは終わっていないし、中村憲も満足はしていない。「(天皇杯の)タイトルを宏樹さんに、獲らせますよ」。2週間後に控える天皇杯の準々決勝・鳥栖戦を含めて、あと3試合。中村憲は全力で戦い抜く。


(取材・文 河合拓)▼関連リンク
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