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ビッグセーブ連発の川島、「前に進んでいるが、ここが終着点ではない」

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[10.12 国際親善試合 日本1-0フランス サンドニ]

 終盤のビッグセーブ連発が決勝点の呼び水となった。敵地でフランスを完封したGK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)は最後まで集中力を切らさなかった。後半42分のFWジルー、同43分のMFバルブエナのミドルシュートを立て続けに弾き出す。すると、この直後の相手CKからカウンターでFW香川真司の決勝点が生まれた。

「相手がリスクを冒して攻めて来たので、ああいうシーンが出てくるかなというイメージは持っていた」。試合終盤、前がかりになって怒涛の攻撃を仕掛けてきたフランスをシャットアウト。「ギリギリのところで、相手のチャンスになりそうなところで、向こうが簡単に外してくれたり、DFもしっかり体を付けていた。相手もいい形でマークを外してきたけど、カバーの意識がよかった」と胸を張る。

 0-0で前半を終えると、サンドニのスタンドからはフランス代表に対し激しいブーイングが飛んだ。フランスの選手が後半開始のためピッチに戻ってくると、再びブーイングが浴びせられ、後半の試合中もミスが起きるたびにサポーターから容赦ない罵声が飛んだ。

「(フランスの選手も)大変だなと」。冷静にプレーを続けていた川島は「プレッシャーがかかって当たり前のチームだし、僕らも欧州でプレーしていれば、そういうプレッシャーを感じることもある。そこで相手が前に出てきて、自分たちが点を取れたのはよかった」と平然と言ってのけた。

 6度目の対戦で初めてフランスから挙げた白星。しかもアウェーでの歴史的勝利は日本のサッカーが着実に進歩していることを示している。「2年前(の南アフリカW杯)は守備はできたけど、攻撃はできなかった。100%思っている形ではできてないけど、前に進んでいるかどうかで言えば、確実に前に進んでいる。自分たちの進んでいる方向は間違ってない」。

 フランスに押し込まれる展開で、前半のシュート数はわずかに1本。後半も決定的なチャンスはほとんどなかった。とはいえ、11年前のサンドニでは0-5で惨敗したことも事実。「ここでボロ負けして、フランスや欧州に良くない印象を残した。今回、フランス、欧州にいい印象を残せたのはよかった」。そう力説する川島は「でも、ここが終着点ではない。W杯でどういう結果を出せるかが大事。親善試合とはテンションの違う試合で結果を残せるかどうか。ここで立ち止まっている時間はない」と、手綱を締めることも忘れなかった。

(取材・文 西山紘平)

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