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日本vsブルガリア 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[5.30 キリンチャレンジ杯 日本0-2ブルガリア 豊田ス]

 日本代表は30日、キリンチャレンジ杯でブルガリア代表と対戦し、0-2で敗れた。3-4-3でスタートした日本は試合開始早々の前半3分に直接FKで失点。後半開始から4-2-3-1にシステムを戻したが、後半25分にMF長谷部誠のオウンゴールで追加点を許し、最後まで1点を奪うことができなかった。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―またセットプレーから失点したが、どれぐらい悔しく思っているか?
「ああいう形で失点してしまうのは好きではない。さらに言うと、失点すること自体、好きではない。当然、負けるのは悔しいことだし、特に今日は親善試合でありながら、たくさんのサポーターがスタジアムに詰めかけてくれて、サポーターが見守る中、そのサポーターに対して、いい内容の試合ができなかったことはさらに残念に思う。結果は負けたが、サポーターの皆さんは90分間を通してチームを応援してくれたし、試合が終わったあとも、チームに対して声援してくれた。

 当然、ゴールや結果はサッカーの一部であるが、チームを成長させていかないといけない立場としては内容の方を重視したい。相手もそんなにチャンスをつくれていないと思っていたが、うちも同様にチャンスをつくれなかった。今日は2つのシステムを使った。一つはオプションを試して、もう一つは普段やっているものだった。それぞれのシステムにいいところもあったし、課題も大きく出た。共通して言えるのは、低いリズムでプレーしていると、うちのいいところが出ないのかなと思う。あとはゴールに向かうパスの供給率が低かったのかなと思う」

―攻撃に関してリズムが低いといい形がつくれないと言ったが、久々に集まった最初の試合ではそういうことが多いように思えるが?
「全体的なコンディションを高めていかないといけないし、それが起因しているのかなと思う。あと何日かあるので、そういうところを高めたい。特に数人の選手にそういった傾向が見られた」

―1年半ぶりの3-4-3はオーストラリア戦を考えていたと思うが、収穫はあったか?
「前半、後半とシステムを変えたが、チームの動き自体はそんなに変わるものではない。前後半ともにボールを持ったときの判断力が少し遅れたのかなと思う。3バックにしても4バックにしても、今日は守備のところでいいところが見えたのかなと思う。

 ただし、攻撃はなかなかうまくいかなかった。相手も考慮しないといけない。ブルガリアはフィジカルが強くて、高さ、体の厚み、スピードも併せ持っていた。そういう相手がブロックをつくってきたことも考慮しないといけない。やはり相手が引いてきてスペースが消えてしまうと、オフザボールでもう少し仕掛ける必要があると思う。過去には今日の相手以上に引いて来る相手と対戦したことがあるが、それでもオフザボールの動きを多く増やすことができればチャンスは付いてきていたと思うし、スペースはそういうことで引き出せるのかなと思う。前日会見でも言ったが、ブルガリアは非常にいいチームだなという印象を受けた。W杯予選で結果が付いてきているのもうなずけると思う」

―最後の長友のようなプレーが試合全体であまり見られなかった。
「日本にはこれまでやってきた戦い方が合っていると思う。体でぶつかり合いをしても不利なわけだから、コンビネーションを出し、オフザボールの動きをもっと出し、相手を飛ばすような縦のパスを供給していくべきではないかと思う。スペースにボールを運んで、相手に的を絞られないようにマークを外す動きができればいいと思う。香川にしても乾にしても岡崎にしても、足元で受けたり、背負って受けるのではなく、前を向いてスペースに走りながらボールを受けるときに彼らのいいところが出る。今日も香川、乾、長友、清武あたりがスペースに動きながらボールを受けるときにはいいところが出ていたと思う」

―3-4-3は今後もチャレンジし続けるのか? 試合後のサポーターが拍手していたのは監督への信頼があるからだと思うが、そのことはどう思うか?
「親善試合のように結果が最重要項目でない試合に関しては、新しいオプションを試すのもいいのではないかと思っている。それが15分であれ、30分であれ、45分であれ、90分であれ、それは状況によって変わってくる。今日も前半は3-4-3でプレーして、後半は4-2-3-1だったが、大きな違いが何だったのかを見ると、そんなに大きな違いはなかったと思う。

 システム自体はチームの特長に合わせて、選手のいいところが出るようにすべきだが、みんなが共通理解を持って、スムーズにプレーできるというのは、どのシステムでも必要だと思う。持っている狙いは主導権を握ることで、そのために今、2つのシステムを試している。一つは長くこのチームで使っているし、もう一つは今トライしているところだが、手元にいる選手の特長に合わせて構築していくことが大切だと思うし、あくまで狙いは主導権を握ることにある。今日の試合は別にしても、ヨルダン戦でもそうだったが、基本的にこのチームはチャンスをつくるし、その割にはゴールの数が少ないチームだと思っている。

 冒頭でも話したが、サポーターには親善試合とはいえ、これだけ大きなスタジアムを満員にしてくれて、90分を通して、さらには試合が終わったあとも声援を送ってくれたことに感謝しているし、素晴らしいサポーターだと思っている。だからこそ、サポーターの期待に応えることができず、いい試合を見せることができなかったことを残念に思っている。今日の試合が終わったあともチームに声援を送ってくれて、拍手で迎えてくれて、サポーターはチームが一生懸命やった、100%トライしたことを認めてくれているのだと思う。このチームはひとえに素晴らしいチームであると思っている。このグループは素晴らしい。このチームは現在でも国民の皆さんに喜びを与えていると思うし、今後もさらに大きな喜びを与えられると思っている」

―今日の試合に関してインテンシティーはどうだったか? オーストラリア戦に向けて不安は?
「今日はあまりインテンシティーは見られなかったと言える。結果が付いてこなかったのでうれしい気持ちではないが、この選手たちはやるときにはやるし、見せるときには本領を発揮してくれるので、まったく心配していない。今日に関してはフィジカルコンディションの問題で90分間出られない選手もいた。そういうところをオーストラリア戦に向けて調整していければと思っている」

―今日の試合がオーストラリア戦に与えるいい影響と悪い影響は?
「時に負けも良薬と言うが、私自身はまったくそんなことを考えないタイプで、負けることは良くないし、好きではない。しかし、私は監督なので、今日の試合でよかったところ、よくなかったところを冷静に分析して、その仕事に務めるだけだと思う。オーストラリアはまた違った特徴を持っているチームなので、そういう相手にどういった戦いをしていくか、この数日で準備していかないといけない。チームはいい状態に仕上がる、選手たちはやってくれると思っている。この試合はオーストラリア戦の前に1試合組んでほしいと協会にお願いして実現した。この試合を通じてオーストラリア戦に向けてだれがいい状態なのかを把握するために、この試合をオーガナイズすることをお願いした。繰り返すが、負けるのは好きではないが、この試合の一番の目的はオーストラリア戦に向けて情報をできるだけくみ取ることだった」

(取材・文 西山紘平)

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