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280日ぶり出場の三都主「まだまだこんなもんじゃない」

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[4.4 J1第4節 浦和1-0大分 埼玉]

 埼玉スタジアムの大サポーターの前にアレックスが返ってきた。45542人の観衆が詰めかけた4日の浦和レッズvs大分トリニータ。左足付け根の怪我で長期離脱していたDF三都主アレサンドロが公式戦復帰を果たし、昨年6月28日のリーグ第14節・柏レイソル戦以来、実に280日ぶりにピッチに立った。

 「90分間プレーできて本当に嬉しい。これからはもっともっと走れるアレックスを見せたいと思います」。試合後、笑顔でそう話した三都主は、この復帰戦で左SBとして先発フル出場。長いブランクを感じさせないプレーを見せ、縦横無尽にピッチを駆け巡った。前半からアグレッシブに攻撃参加。幾度となくオーバーラップしてはFW田中達也やエジミウソンらにクロスを放り込み、チャンスメイク。前半13分には田中達のパスから強烈なミドルシュートを繰り出し、チャンスとみれば左からDF2人を抜き去りPAに切れ込んだ。ハイライトは同42分の得点シーン。左サイドでポンテからパスを受けると、すかさずクロス。「本当はタツヤを狙っていた」というボールはターゲットの田中達の後方を抜け、エジミウソンの走り込むスペースへ転がった。ここで大分DFがクリアミスをおかし、先制点となるオウンゴールを奪った。

 後半もポンテや田中達、山田直輝らと美しい連携を見せ決定的なチャンスの起点となった。「アレックスが100%に戻れば日本で最高のSBになる。これからは以前のアレックスが見れると思う。彼の活躍はチーム全員が嬉しかった」。追加点こそ奪えなかったが、ポンテは嬉しそうに三都主の復帰を祝福した。右SBとして最終ラインを務めた山田暢久も「アレックスとは久しぶり。今日は懐かしみながらプレーしていた」と感慨深げ。アレックスの先発起用を決めたフォルカー・フィンケ監督も「90分間プレーできたのは、良いシグナル。チームのために良いプレーを見せてくれた。今後も彼の活躍には期待したい」と信頼を寄せた。

 チームメイトの声同様、本人も復帰戦に手応えを掴んでいた。しかし、これまでの道程は長かった。三都主は昨年のリーグ開幕前に左足を負傷、全治3ヵ月の怪我を負った。6月の柏戦で復帰はしたが、その時は怪我を悪化させ出場僅か15分で退場。出口の見えないリハビリ生活を送ることとなった。「280日は長く、本当に辛い時もあった。だからこそこの90分出られたのは嬉しい。でも、まだまだこんなもんじゃない。もっと出来るし、もっと走れる。これからはコンディションも上がるだろうし、更に良いアレックスをお見せします」。家族とサポーターの温かい声援に包まれて、浦和の背番号「8」がいよいよ完全復活だ。

<写真>観衆の声援に応える浦和DF三都主
(取材・文 山口雄人)

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