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大宮、10度目対戦で鹿島初撃破。先制弾の内田は“ウッチー対決”に「負けたくなかった」

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[8.29 J1第24節 大宮3-1鹿島 NACK]

 下位に低迷している大宮アルディージャが王者を攻守で圧倒し、J参入後、10度目の対戦にして初めて鹿島を下した。5試合ぶりの勝ち点3をつかみ、張外龍監督は「中盤をコンパクトにして守備をした結果、中盤で相手の攻撃力を遮断できて、選手が最後まで戦ってくれた、そんな試合だった」と誇らしげに語った。

 試合開始から積極的にプレスをかけ、気迫を前面に出して戦った。この試合に向けて1週間、カウンターと、ゴール前へのクロスボールの入れ方&合わせ方を徹底的に練習してきたが、それがうまく発揮された。観戦した日本代表の岡田武史監督も「鹿島が悪すぎた? いや、大宮が良すぎた。鹿島は悪くなかった」と大宮のデキに驚嘆したほどだった。

 中でも左MFで先発した内田智也と新加入のFWラファエルが活躍した。内田は前半4分に左サイドを走り抜け、右サイドからのクロスで先制点を奪った。「いい形でつないでくれたんで、ぼくは決めるだけでした。鹿島は前半からくるので、気持ちで負けないようにと考えていた。全員、守備の意識が高く、いいカウンターができた」と謙遜気味だったが、評価できる内容だった。

 対面にいたのは、くしくも同じ名字の日本代表DF内田篤人。ニックーネームも同じの“ウッチー対決”となったが、大宮の内田は「あそこは負けられないと思っていた。負けたくなかった」という。この日は得点シーン以外でも鹿島の右サイドを攻略する場面が見られた。内田一人の力ではないが、年下には負けられないという意地も働いた。

 「あそこは自分でも無理をすれば打てたが、それ以上に土岐田がいいところにいた。迷わずパスを選択したよ。自分が決められたらうれしいが、自分のゴール以上にチームが勝つほうがうれしいからね」

 後半36分の2点目はMF土岐田洸平が決めたが、FWラファエルの絶妙なアシストが効いた。フリーの状態で右サイドからのクロスが入ってきたが、自分ではいかず、2列目から飛び出してきた土岐田にボールの勢い殺しながら丁寧にヘディングでパス。試合を決定付けるゴールを導いた。

 「悪いジンクスが終わってよかった。いままでは勝てなかったかもしれないが、チームでやってきたことが出せた。今日の試合でジンクスが解けたし、首位のチームに勝てて、大きな勝利だね。それに貢献できてうれしいよ」と、助っ人FWはフォア・ザ・チームを強調した。

 たしかに、プレー面でも助っ人らしからぬところがある。自分で攻めるだけでなく、周りをうまく生かしながらプレーできている。内田は「性格がまじめなんです。明るいところもあるし」と早くもチーム戦術に馴染んでいるという。今後、約2週間の中断期間を迎えるが、これを利用してより成熟してくれば、中位浮上が見えてきそうだ。

(取材・文 近藤安弘)

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