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就任後未勝利にも笑み、千葉は降格へのカウントダウン…

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[10.18 J1第29節 千葉1-1京都 フクアリ]

 ジェフユナイテッド千葉が痛恨のドローで、降格へのカウントダウンに入った。前半34分に先制しながら、後半41分に失点。13試合勝利なし(6分7敗)となり、最短で次々節(11月8日)の川崎F戦で初の2部降格が決まる崖っ縁に立たされた。

 突き放すチャンスは何度となくあった。前半ロスタイムにはMF下村東美のミドルシュートのこぼれ球を拾ったMF工藤浩平が決定機を迎えたが、シュートはゴール上へ。後半14分にもGKが飛び出してきた無人のゴールにFW巻誠一郎が押し込もうとしたが、ゴールライン上でDFにクリアされた。同17分、MFアレックスの左クロスに合わせた巻のヘディングもGKが好セーブ。決定機を逃し続けたツケが、後半41分の同点ゴールにつながった。

 巻は「僕が決め切れなかったのが勝てなかった原因。FWとしての責任を果たせなかった。それだけです」と自らの決定力不足を責めた。「サポーターの皆さんもあきらめずに応援してくれて、スタッフも全力で支えてくれた。他の選手も素晴らしいプレーをしていたのに、僕だけが自分の責任を果たせなかった。僕が外したプレーが今日の試合のすべて」と責任をすべて背負った。

 巻を含め、決定機を生かせなかったのは確かだが、必死に2点目を狙った選手とは対照的に、消極的だったベンチの采配も気になる。京都は1点ビハインドの後半、中盤の枚数を減らし、リスクを冒して反撃に来た。中盤には広大なスペースが広がり、千葉としてはそれを生かさない手はなかった。

 しかし、江尻篤彦監督が切ったカードは後半22分、FW新居辰基に代えてFW深井正樹という縦に早い選手同士の交代。中盤でタメをつくり、決定的なパスを出せるMFミシェウを投入していれば、もっとチャンスをつくれたのではないか。

 2点目が取れず、逃げ切りを図ってMF斎藤大輔を投入したのが後半41分。その直後に失点するなどベンチワークは最後までかみ合わず、後半ロスタイムに慌ててFWネット・バイアーノを投入したが、残り時間は少なすぎた。

 就任後10戦未勝利(5分5敗)となった江尻監督は試合後「監督になってから勝っていないが、逃げるつもりはないし、最後まで前を向いて戦う覚悟をしている。相手がどこでも僕らのサッカーをやり続けるだけ。あらためてその決意が固まった。頭がおかしいと言われるぐらい、前向きにやっていきたい」と笑みを浮かべて語った。

 すべてを達観したような指揮官の表情。残り5試合で、千葉に再び奇跡は起こるのか。現実は、相当に厳しい。

<写真>ドローで肩を落とす千葉DF福元に手を伸ばす江尻監督
(取材・文 西山紘平)

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