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意地のぶつかり合ったF東京対浦和。終了間際に点を取り合い1-1のドロー

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[5.26 J1第13節 F東京1-1浦和 味スタ]

 Jリーグは26日、第13節を行い、6位のFC東京は味の素スタジアムに7位の浦和レッズを迎えた。F東京は04年11月にナビスコ杯決勝で、PK戦の末に浦和を下して以来、リーグ戦とリーグ杯では14試合を戦い、2分け12敗と一度も勝てていなかった。前半から互いにチャンスをつくるものの、決定機を生かせず。後半はF東京が押し気味に試合を進めたが、後半44分にMFマルシオ・リシャルデスのゴールで浦和が先制する。このまま1-0で終わるかと思われたが、ロスタイムにCKからDF森重真人が同点ゴールを決めて、試合は1-1で終了した。

 F東京は前節の鳥栖戦(3-2)でハットトリックの活躍を見せたFW渡邉千真をスタメンに起用した。最終ラインは右からチャン・ヒョンス、徳永悠平、森重真人、椋原健太。ドイス・ボランチは高橋秀人と長谷川アーリアジャスールの2人。2列目は右から石川直宏、梶山陽平、ルーカス。1トップに渡邉千真が入る4-2-3-1で試合に臨んだ。対する浦和は3-4-2-1の布陣。最終ラインは右から坪井慶介、永田充、槙野智章。ボランチの2枚は鈴木啓太と阿部勇樹。右WBに平川忠亮、左WBに梅崎司。トップ下に柏木陽介、マルシオ・リシャルデスが入り、1トップにポポが入った。

 攻撃的なサッカーを志向する両チームの激突は、前半1分、F東京のMF高橋秀人のミドルシュートを浦和GK加藤順大がキャッチして幕を開ける。細かいパス回しで浦和ゴールに迫るF東京に対し、浦和は後方からのロングボール相手の高い最終ラインの背後を狙う。

 より早い時間からフィニッシュに持って行けたのはF東京だった。左MFルーカスからゴール前の渡邉にクロスが出る。12分の場面はクロスが合わなかったが、続く14分の場面では渡邉が頭でボールを捉えたが、ボールは右に外れて行った。対する浦和も前半14分、MFマルシオ・リシャルデスのスルーパスを左サイドの高い位置で受けたDF槙野智章の折り返しをDFがクリアーしたボールをMF梅崎司が拾ったが、シュートには持ち込めなかった。

 同19分にはF東京が浦和のPA内までボールを運び、ルーカスと渡邉の連係から、最後はルーカスがシュートを放った。しかし、ルーカスのシュートはDFにブロックされる。こぼれ球にMF石川直宏が反応したが、DFにクリアーされた。

 シュートを打てていなかった浦和も、前半23分に高い位置で梅崎がボールを奪うと、前方の柏木にパスを出す。MF柏木陽介がゴールを狙ったが、ボールは左サイドネットに外れた。同27分にもMF阿部勇樹のロングボールを右サイドで受けたMF平川忠亮がダイレクトでゴール前に折り返すダイナミックな攻撃を見せたが、クロスはGK権田修一にキャッチされる。

 同32分にはF東京が前半最大のチャンスを迎える。MF梶山陽平のパスを受けた石川がPA内に侵入してシュートを放ったが、ボールは右ポストを叩く。こぼれ球を拾った高橋がダイレクトで打ったミドルシュートがDFにブロックされると、さらにそのこぼれ球をDF椋原健太が回収する。椋原もゴールを狙ったが、このシュートはGK加藤にキャッチされた。

 前半も残り10分になると、浦和が決定機を次々とつくる。35分には槙野の縦パスをFWポポが最終ラインの裏に流す。これを梅崎が受けてGKと1対1になったが、GK権田にセーブされた。同38分にも柏木のパスをポポが受け、左の梅崎に展開。梅崎の折り返しをPA内に走り込んだポポが合わせたが、シュートを枠に飛ばすことはできなかった。さあらに前半終了間際の44分にも、浦和はマルシオ・リシャルデスが前方のスペースに出したパスにポポが反応。左サイドからクロスを入れると、ゴール前でマルシオ・リシャルデスが合わせた。ボールは枠に飛んだが、GK権田のセービングによって得点は挙げられなかった。互いにチャンスを生かし切れず、前半は0-0で折り返す。

 両チームともにメンバー交代のないままに迎えた後半の立ち上がり、槙野が倒されてFKを得た浦和だが、ポポのシュートは壁にブロックされる。その直後にはF東京が細かいパス回しから、最後は最終ラインの裏をうまく取った椋原がシュートを打とうとしたが、直前に槙野にブロックされた。

 同16分には再び椋原が浦和の最終ラインの背後を取りかけるが、MF長谷川アーリアジャスールからのパスをコントロールしきれず、戻ったDFに止められた。最終ラインからの攻め上がりで攻撃に厚みを加える椋原は、同17分にもマルシオ・リシャルデスからボールをカットすると、味方がパスをつなぐ間に前線へ走り、左サイドに開いた石川からのパスを受けて、ゴール前にクロスを入れる。これに渡邉が合わせたが、シュートは右に外れて行った。

 後半17分、最初に動いたのは浦和のペトロヴィッチ監督だった。ポポを下げて、FW原口元気を送り込む。それでも流れは変わらずに、同22分にはボールをカットしたDF徳永悠平が梶山にボールを預けて攻め上がる。梶山は渡邉とのワンツーで時間をつくると、右サイドを攻め上がった徳永にパス。徳永はPA内に入り込みシュートを放ったが、ボールは左に外れて行った。

 同23分に浦和は平川が負傷し、MF宇賀神友弥をピッチに送り出した。その直後には原口がドリブルで仕掛けたが、シュートに持ち込むことはできなかった。それでも原口は前線でボールをキープし、味方の攻め上がりを促そうとする。同29分には右サイド宇賀神のパスから柏木が中央でボールを受けて、シュートを狙ったがボールはGKの正面に飛ぶ。途中出場の2人が浦和の攻撃にアクセントを加えて行った。後半30分にはPA外の左サイドでボールを受けた梅崎が強烈なシュートを放ったが、ボールはクロスバーを叩いた。

 後半34分にはF東京が波状攻撃を見せる。渡邉のシュートがブロックされたボールを石川が拾ってシュートしたが、ボールはGKの正面に。それでも浦和の縦へのボールをことごとくカットするF東京は、直後にもルーカスに縦パスが入るが、戻ってきた宇賀神にスライディングでボールを突かれ、シュートには持ち込めなかった。

 F東京はボールを保持しながら、浦和の守備ブロックを崩しにかかる。同37分にはDF森重真人のパスから椋原がシュートを放つが、ボールはGKにキャッチされた。後半40分にF東京のポポヴィッチ監督も動く。渡邉を下げて、MF谷澤達也を入れ、ルーカスをFWに上げた。

 同43分には浦和もPA内にボールを持ち込む。柏木、マルシオ・リシャルデスとつないだボールを最後は原口がシュートしたが、DFにブロックされる。しかし、その直後のプレーで浦和に先制点が入る。右サイドをドリブルで侵入した柏木の折り返しを原口がヒールで落とすと、マルシオ・リシャルデスが決めて浦和が1-0で先制する。

 ここで両チームのベンチが動く。F東京はDFチャン・ヒョンスに代えてFW林容平を投入。浦和はマルシオ・リシャルデスを下げて、MF小島秀仁を入れた。交代直後のF東京のCKで、石川が入れたボールをゴール前で森重が合わせて、F東京が同点に追いつく。さらにロスタイム4分にもF東京はCKから梶山がボレーでゴールを狙ったが、シュートはGKにキャッチされる。ここでF東京は、その梶山を下げて、ケガから復帰したDF加賀健一をピッチに送り出した。

 ロスタイムも5分が過ぎたとき、浦和が最後の決定機をつかむ。右サイド宇賀神からのクロスをゴール前で原口がヘッドで捉えたが、ボールは右ポストに嫌われた。結局、試合はこのまま1-1で終了。勝ち点1を分け合うこととなった。

(取材・文 河合拓)

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