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ロスタイムの決定機逸を悔やむ浦和・原口「あそこで決めきれないのが、今のオレ」

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[5.26 J1第13節 F東京1-1浦和 味スタ]

 目には涙をいっぱいにためていた。浦和レッズのFW原口元気は、自分自身が許せなかった。「すべてのことを変えるのに、絶好の機会だった」と言い、一呼吸おいて「あそこで決めきれないのが今のオレなのかなと思う」と唇をかみしめた。

 原口が悔やんだのは、1-1で迎えた後半ロスタイムの場面だった。右サイドのMF宇賀神友弥のクロスを頭で捉えたが、フィニッシュは右ポストに嫌われた。試合後のミックスゾーンでは「何で入らないか分からない」と悔しがった。練習通りの動きでゴール前に入り込み、フィニッシュを放った。「(クロスが)最高のボールだったから…。決めきれなかったことでウガ(宇賀神)にも申し訳ない」と肩を落とす。

 活躍できなかったわけではない。後半17分、原口がピッチに送り込まれた時点で、浦和は劣勢だった。FC東京ランコ・ポポヴィッチ監督は「相手はポポに代えて原口を入れて、さらにカウンターを仕掛ける意図を色濃く出してきた」と語った。だが、ボールが収まらなかった中で、最前線に入った原口はボールをキープし、味方の攻め上がりを促し、反撃の糸口となった。そして、後半43分にはヒールパスでMFマルシオ・リシャルデスの先制点をアシストしている。

 そうしたプレーに手応えがある一方で、得点できないことが苦悩を増幅させていた。

「手応えはここ何試合かずっとあるんです。常に決定機に絡んでいるし、アシストも多い。そういう意味では手応えはあるんですけど、自分で試合を決めることができない。それを(今日も)できなかったことが…。あと、ほんのちょっとで入っていたかもしれませんが、そのほんのちょっとが大きい。最後は自分の力なので、自分の力でこの壁を乗り越えられるように練習するしかない。チームを助けられるようになれば、また一歩先に行ける気がするので、結果にこだわりたい」

 時折、目頭を抑えながら話す21歳のアタッカーは、自分に足りないものは何かをしっかりと見つめている。勝ち点1に終わった悔しさ、不満をすべて受け止め、成長を誓う。笑顔の弾ける日は、きっと近い。

(取材・文 河合拓)

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