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同点弾のF東京・森重「負け試合を分けられたのは成長」

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[5.26 J1第13節 F東京1-1浦和 味スタ]

 万事休したか。敗戦を覚悟したFC東京のサポーターも多かったのではないだろうか。後半、ポゼッションで相手を圧倒し、多くのチャンスをつくりながらも、得点を決めきれなかった。そして、残り2分で浦和レッズのMFマルシオ・リシャルデスに先制点を与えてしまったのだ。

 しかし、前節の鳥栖戦で0-2から試合をひっくり返した『味の素劇場』では、この日もドラマが用意されていた。試合前、過去のEUROの話をしている際にランコ・ポポヴィッチ監督が「うちにもベッケンバウアーがいるぞ」と冗談めかして言った。その『F東京の皇帝』が、同点ゴールを叩き込んだ。

 後半ロスタイム、CKのチャンスで両チームのベンチが選手交代を行った。DF森重真人は「CKまでに時間があったので、チャンスだなと思いました」と振り返る。そして、MF石川直宏の蹴ったCKから、日本代表DF槙野智章に競り勝つ打点の高いヘディングで、同点ゴールを挙げた。槙野は「やられましたね。チームと言うより個人の問題です。自分の課題でもあるので、見つめ直さないといけない」と悔やしがった。

 起死回生の同点ゴールを挙げた森重は「ナオさん(石川)から良いボールが来たので合わせるだけでした」と、今季初ゴールを挙げた第5節の川崎F戦(1-0)と全く同じ感想を口にした。その上で、チームにとって大きな勝ち点1になったと話す。

「引いて守る相手を崩すことは、永遠の課題です。解決することはないと思うが、どんどんどんどん壁にぶつかるたびにアイディアを出して、次の試合でまたチャレンジして、ダメだったらまたアイディアを出すことを繰り返すしかない。その中で今日は、なかなかセットプレーで点を取れていなかったので、CKから得点できたことは良かった。これまではこういう試合を落とすことが多かった。でも、今日は最低限の結果ですが、引き分けることができた。今までだったら負けていた試合を、引き分けに持ち込めたことは成長かなと思います」

 最終ラインを束ねる背番号3は、同点ゴールを喜ぶ以上に、失点場面をフォーカスしていた。

「(勝ち点)1を取れたのは収穫ですが、1失点してしまった。失点の場面は修正すべき点がたくさんあると思う。そっちの方を修正して、次のACLを戦いたい。失点しても、得点しても、僕たちのやるサッカーは変わらないので。結果論ですけど、あの失点がなければ1-0で勝てていたと思う」

 Jリーグは中断期間に入るが、F東京は休む間もなく、中3日でACLラウンド16の広州恒大戦を敵地で迎える。より結果が求められる一発勝負のトーナメントで、この日の試合の反省を生かせるか。

(取材・文 河合拓)

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