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千葉対湘南は見応え満点のドロー決着。J2は勝ち点1差に5チームがひしめく超混戦

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 ベンチ外の選手までもがアウェースタンドに乗り込んだ湘南ベルマーレが16本のシュートを放てば、ホームのジェフユナイテッド千葉も13本。両チーム合計29本のシュートが飛び出した上位対決の一戦は、しかしながらノーガードの打ち合いではなく、互いに素早い切り替えとハードワークを見せた好ゲームとなった。

 立ち上がりは千葉が押した。湘南・チョウ・キジェ監督の「ジェフは後ろからビルドアップする力がJ2で一番高い」という見立ての中、裏をかいて湘南の3バックDFの裏を突くロングボールを繰り出す。最初のビッグチャンスは前半19分。深井正樹が裏へ抜け出してGKと1対1になるが、湘南GKがシュートを顔面でナイスセーブし、ゴールを割ることはできない。

 千葉が先制したのは5分後の24分。武田英二郎の左クロスに藤田祥史が頭で合わせて1-0とする。

 ところが湘南には勢いがあった。42分に高山薫が3試合連続となるゴールを決めて同点に追いついた。すると後半は互いにピンチとチャンスの連続。ワンプレーごとに全員が素早く攻守を切り替えるハードワークを見せ、試合を盛り上げた。

 1-1の引き分けという結果はもちろん満足できるものではない。けれども、2位をキープした千葉の木山隆之監督は「前節(東京V戦)はあまりプレーをした記憶のない試合だったので、そういう意味では清々しい。選手たちはよくファイトしてくれた」と納得顔を浮かべた。3位から4位へひとつ順位を下げた湘南のチョウ監督も「引き分けは妥当」と頷く。

 これで前半戦の21試合を終え、首位の山形から5位の大分までが勝ち点1差の中にひしめく超混戦。6位甲府、7位京都も虎視眈々と上位を狙う展開の中、J1昇格の分かれ目となるのはどんな要素か。

 リーグ最少失点の千葉守備陣を引っ張る山口智は「今の順位は関係ない。2巡目になって、相手は戦い方を変えてくるかもしれない。ただ、僕らももっと成長しないといけない中で、それを楽しみながらやってい蹴ればいいと思う」と言う。

 同点ゴールを決めた湘南の高山は「湘南はそんなに有名な選手がいるわけでもないし、開幕前の雑誌の予想順位も低かった。でも、僕らには走力と爆発力がある。コミュニケーションを取って戦っていけば勝てると思う」と自信を口にする。

 そして、表情を一層引き締めたのは指揮官たちだ。「これからが本当の昇格戦線」と千葉・木山監督が言えば、湘南のチョウ監督は「順位は考えない。目の前の試合に勝っていくだけ」と言った。

 今季のJ2は42節を終えた後、3位から6位までがJ1昇格プレーオフを行うというレギュレーション。後半戦はまさに壮絶なバトルが待っていそうだ。

(取材・文 矢内由美子)

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