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スペイン撃破弾の大津 「奇跡とは思ってない。実力だと思ってます」

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[7.26 ロンドン五輪D組 日本1-0スペイン グラスゴー]

 奇跡とは言わせない。“世界王者”のスペインを破る大金星。96年のアトランタ五輪でブラジルを撃破した「マイアミの奇跡」に続く「グラスゴーの奇跡」にも、殊勲の決勝点を決めたFW大津祐樹は「周りには奇跡と言われるかもしれないけど、自分たちは奇跡とは思ってない。実力だと思ってます」と言ってのけた。

「今目指しているのは金メダル。そこに向けて一歩一歩進みたい。勝利が大事なだけで、スペインに勝ったからといって……。そういう奇跡を起こすのは大事だけど、うぬぼれないで、次も勝って、グループリーグを突破してから喜びたい」

 前半34分にMF扇原貴宏の右CKにファーサイドから走り込み、DFの前で滑り込みながら右足で押し込んだ。「前でつぶれてくれてファーに流れてきた。ボールウォッチャーになった相手の前に入るのは効果的だと思っていた。狙っていたところにちょうどこぼれてきた」。焦りと苛立ちを募らせたスペインは前半39分にDFジョルディ・アルバが警告を受け、同42分、DFイニゴ・マルティネスが後方からFW永井謙佑を倒す決定機阻止で一発退場になった。

 前半立ち上がりの7分に左足首を痛め、一時ピッチに倒れた大津。すぐにプレーを続けたが、大事を取ってハーフタイムに交代した。関塚隆監督は「ちょっと痛めた箇所があって、無理をさせられないので代えた」と説明。大津自身は「次の試合もあるし、ポジティブでいる。次の試合もやれる。そのために今日交代した」と軽傷を強調した。

 ピッチの外からチームメイトを応援するしかなかった後半の45分間。1-0のまま逃げ切った瞬間、思わず大粒の涙がこぼれた。「初戦が大事というのがあって、最後、自分が出れない中でみんなが一生懸命戦っている姿を見てちょっとウルッと来た。ちょっとじゃないですね」。そう笑うと、「それぐらい一戦目を大事に思っていた。うれしいときはうれしいし、悲しいときは悲しい。泣きたいときは泣けばいい。それも一つの感情だと思う。その代わり、切り替えてやることが大事」と、次を見据えた。

「次の試合は、今日休んだ分を取り返して、また点を取りたい」。29日の第2戦ではモロッコと対戦する。勝てば準々決勝進出が決まる大一番だ。DF吉田麻也も「持ってますね」と舌を巻いた背番号7。今度は自分のゴールで日本を3大会ぶりの決勝トーナメントに導くつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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