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日本vsイラク 試合後のジーコ監督会見要旨

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[9.11 W杯アジア最終予選 日本1-0イラク 埼玉]

 日本代表は11日、W杯アジア最終予選第4戦でイラク代表と対戦した。FW香川真司が腰痛で欠場した日本は前半25分、FW前田遼一のゴールで先制。追加点は奪えなかったが、守備陣が無失点に抑え、1-0で競り勝った。最終予選のホームゲームは3試合連続完封で3連勝。3勝1分の勝ち点10に伸ばし、ブラジルW杯出場に大きく前進した。

以下、試合後のジーコ監督会見要旨

ジーコ監督
「まずはじめに日本代表チームの勝利を称賛したいと思います。もちろんイラク側にとっては難しいゲームでした。それにも関わらず、選手たちは非常に努力して、(得点する)機会をつくり出しました。残念ながら得点に結びつけることはできませんでした。そんな中、失点シーンを振り返れば、我々の凡ミスというか、もともと警戒していたプレーが何通りかあったが、その内の一つのサイドからのスローイン。それを警戒していたが、あの場面では別のプレーを想定して、別のプレーを警戒してしまった。そういった凡ミスで失点したのが残念でならない。ですが私は選手たちに関しては非常に満足している。

 昨日の会見でも言ったのですが、私は私なりにリスクを負ったということを言いました。それは一度も一緒にプレーしたことがない選手たちを公式戦で出したということ。なかでも若手3人をA代表でデビューさせた。このベースは五輪代表なのですが、この五輪代表は実際は五輪本戦には進んでいないチームです。その選手たちをこういった機会で試す。こういった大きな舞台で試さないと連れてきた意味がないと、彼らをぶつけた。彼らのベースがイラク代表の将来を担う選手たちであります。ですから、このテストは非常にポジティブな結果だと私は受け止めています。もちろん日本はその上をいくチームワークで選手同士がお互いに慣れていて、親しみがある、欧州での経験も豊富にある。プレーも戦術的にも正しいものを行った。そういった意味で日本には負けてしまいました。残念ながらイラクの事情ではありますが、こういった公式戦でしか選手を試せない、親善試合で選手を試せないという状況があります」

―今後の予選も今回のような若い選手を中心にやっていくつもりか?
「このチームをベースにこれからも戦っていきたいと思います。なぜなら、これまで使ってきた選手のなかで非常にコンディションが悪い選手が多く、万全な状態で出せないという状況にあります。後半になって、残り20分、30分で3人の選手を投入しましたが、せいぜいこういった状況で出すというのが限界でした。前の試合のオマーン戦と同じメンバーで戦っていれば、きょうは大量失点で負けていたという可能性もあり得ました。とにかく所属クラブが無い選手や怪我明けの選手が多く、きょうは日本代表と対戦するということで、日本のスピードに対応するために若い選手を多く投入しました。きょうスタメンで出した選手は先月の27日から一緒に練習しているという、良い環境にあります。それで後半に投入した選手は、今がプレシーズンでありまして、ですから彼らのコンディションがよくわからないと、そういう意味で後半に投入したということ。これからシーズンが始まるので、シーズンにかけて彼らのコンディションが戻ってくれば、彼らがスタメンに復帰してくると思います」

―流れを変えたものは失点だったのか?それ以外のものだったと思うか?
「一言で言えば日本のチームはお互いのプレーに慣れている。とてもチームが馴染んでいると思う。そして個々の選手を見ると、それぞれが欧州のクラブでプレーしている。インテル・ミラノやCSKAモスクワなど、いろいろな欧州の選手がいます。そういった欧州の経験というのは、こういった状況で利いてくる。ですから日本は間違いなくグループ1位になる。1位候補というのは間違いありません。もちろん我々も逆に言えば日本にとって一番いい攻撃パターンというのは、しっかりマークしたという自覚もあります。特にスローインから始まったゴールシーンですけれども、日本が一番得意とするセットプレーのCKやFKといったところで失点していませんし、また後半には遠藤選手や本田選手に対しても、シュートを打たせていませんし、我々の方でしっかりマークして、我々の方で我々の役割をしっかりしたという自覚はあります。

 それに加えて、この6万人の熱狂的なサポーターが後押ししてくれる、これは日本のサポーターの素晴らしいところだと思います。私は一度は日本のサポーターがいた経験があります。残念ながら今のイラク代表にはそういった状況がないと。自国でホーム戦を戦えないと、自分のところのサポーターの後押しがないという状況であります」

―若手を試したということだが、今日のGKヌール・サブリは31歳で予選には出ていない選手だった。その選手を先発に起用して主将に任命した理由は?
「GKに関して言えば31歳というのは、そんなに歳を取っているとは言えないと思う。なぜならオーストラリアのGKなどは、ほぼ40歳。彼はアジアではベストGKの一人だと思っています。今日使ったGKに関してはアラブネーションズカップで最も活躍した選手の一人だったので、彼をレギュラーにした。もっとも、これまでレギュラーだったモハンメド・カッシドは3か月実戦をしていないということ。代表ではオマーン戦が最後、所属クラブがない状況でしたので、今日は彼を使わずにヌール・サブリを使いました」

―ドイツW杯の後『日本代表はフィジカルを強くする必要がある』とレポートを出していたが、あれから6年が経ち、日本代表はどのように変わったように見えたか?
「フィジカルといった意味合いはコンディショニングなどではなく、選手の体の構造と言いますか、けがをしない構造。強い身体のつくり方と言いますか。そういう意味合いで当時、私は言いました。それ以来、日本の選手はたくさん欧州に行き、欧州で問題なくプレーしている。向こうで激しく厳しい練習に耐えながら、食事も現地のものに適応しながら、上手く身体ができていると私は見ています。例えば長友選手なんかは、きょうは90分間走り続けましたけれども、さらにこの後90分間走るということを彼はきっとできるでしょう。この恵まれた身体作りの状況に持っていけたということですね。今は本当に変わっているという風に思っています。

 私は4年間日本代表を率いましたが、4年間の内で代表選手の骨折というものが7ケースありました。これは代表レベルの選手にとっては大きすぎる怪我という風に私は理解していますし、ですから当時はそういう指摘をしたのです。そして私以降の監督がこういった骨折のレベルの怪我がないように、日本の選手は鍛えるべきだと指摘しました。例えば今振り返ると、小野選手は2回骨折したということ。柳沢選手や稲本選手も骨折したと。今思い出すだけでも3選手の名前が挙がってきます。そういう風に考えれば、代表監督にとって選手が欠けるというのはとても痛いですね。そういう状況でした」

―日本のサポーターからジーココールがあがっていたが、聞こえていたか?また試合後にザッケローニ監督は忘れてしまっていたようだが、握手はしたか?
「ザッケローニ監督とは古くからの友人なので、少し握手を忘れたからといって問題はないですし、彼は試合が終わってすぐに選手に何かを伝えたかったと、そういう風に見受けましたし、インタビューが始まってしまいましたから、私はインタビューが終わるまで待っていました。今回こちら(会見場)に来る前に2人で話す時間がありましたので、一言二言をかわしました。何の問題もありません。

 日本のサポーターのコールは残念ながら気が付かなかったのですが、もちろんコールがあったのだとすれば、非常に感謝していますし、すごく嬉しく思いますし、日本で過ごした15年は無駄ではなかったという風に改めて思います。ザッケローニ監督には『祝福したい』『今後もグッドラック』と言いたいです」


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