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W杯監督インタビュー:イングランド代表ファビオ・カペッロ

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W杯出場チーム監督インタビューの第11回目も優勝候補国を率いる監督。イングランド代表のファビオ・カペッロ監督の今大会の目標はもちろん!?

─今回のW杯におけるイングランド代表の目標は?
「決勝トーナメントに進み、優勝することです。イングランド代表には世界の一流選手がいますから、彼らのコンディションを最高の状態に持っていけば、優勝も夢ではありません。他の代表チームにも多くの優秀な選手がいますが、イングランド代表はまぎれもなく最強の代表でしょう。W杯のためにスーパースターたちと共に努力できることを非常に嬉しく思います」

─(決勝Tでは)イングランドの対戦日程について、どのように予想していますか?監督の祖国であるイタリアとの対戦を心配しているのではありませんか。
「私にとって最も完璧なシナリオは、イングランド代表が準決勝でドイツを破り、決勝でフランスを破って優勝するというものです。私から見ればこのシナリオが一番興奮します。09年10月、私は南アフリカへ行き、現地調査をしました。イングランド代表は非常に良いホテルに宿泊し、必要な設備も完備しています。私からみれば、何ら不満はありません。また我々のベース・キャンプ地も南アフリカでは最もよいトレーニング基地なのです。
あと、イタリア代表と対戦することが私にとって心苦しいものであることは否定しません。できることなら避けたいです。しかし、もし対戦するということになれば、イングランド代表と心を一つにして戦います。イングランド代表を率いてW杯優勝を勝ち取らねばというプレッシャーを味わっています。これは私のプロ生活の中での最大の挑戦です。我々は強い代表チームであり、多くの優秀な選手を抱えています。W杯のグループリーグで自分達の力が発揮できれば、どの対戦相手にも勝てるでしょう」

─今回のW杯でのイングランドのライバルはどのチームですか?
「ヨーロッパの4チーム(イングランド、スペイン、ドイツ、フランス)のうちのいずれかに優勝する可能性があると思います。ヨーロッパのチームはこれまでヨーロッパで開催されたW杯以外では優勝したことがないというのは、理由ではありません。今回、ヨーロッパの代表チームが南アフリカで優勝する可能性は非常に大きいと思います。逆にこれまで有力視されてきたブラジルやアルゼンチンも多くの問題に直面しており、彼らは困難を見据えなければならないでしょう。アフリカの代表チームには引き続き警戒しています。アルジェリア代表は同じグループリーグの中で最も危険な対戦相手だと思います。これはまぎれもありません。3月にエジプト代表と対戦しましたが、非常に面白い代表チームだと思いました。しかし、アルジェリア代表は最終的にエジプト代表を破って本大会出場を果たしました。つまり、アルジェリア代表はエジプト代表より強いということです。アルジェリア代表は得点能力が高いですし、他のアフリカ代表と同様、南アフリカ国内のサポーターが応援するでしょう」

─今回のW杯で一番心配なのは何ですか?
「まずは、PK戦です。(94年W杯で)ロベルト・バッジョが失敗したあのPKがいまだに忘れられません。彼はイタリアで最も素晴らしい選手ですし、世界で最も素晴らしい選手と言えるかもしれません。しかもこれまであんなに重要なPKを失敗したことはありませんでした。プレッシャーが大きすぎたのでしょう。あのような状況では、GKでさえ普段より大きく見えるものです。トレーニングでは簡単にシュートが決まるのに、PK戦になると状況が全く変わってしまいます。どんな選手でもプレッシャーのために普段とおりの動きができなくなります。ですから、選手たちのプレッシャーを和らげる方法を考えなければなりません。
2つめの心配は、ケガや病気です。ウェイン・ルーニーリオ・ファーディナンドアシュリー・コールアーロン・レノンなど主力選手のコンディションは、いずれも重点的に観察しています。特にイングランドの選手について言えば、シーズン末とシーズン初めのコンディションは大きく異なります。彼らは非常に疲れています。ドイツの選手はヨーロッパの試合ではあまり芳しい働きをしませんが、これはシーズン初めにおいて、皆が同じレベルにいるからです。しかし、1月を過ぎれば、十分に休息が取れるため、状況が大きく変化します。クラブチームの監督をしていたときは、選手のケガや病気の問題に非常に注意を払っていました。主力選手を決める最も大切な要素であるからです。戦術は二の次です。代表チームの監督も同様です。試合出場に不適格であるとチームドクターから宣告された選手は、誰であろうとベンチを温めるしかありません。2、3日のケガだとチームドクター診断したなら問題はありませんが、2、3週間のケガだと診断したらアウトです(インタビュー後、ファーディナンドが練習で故障し、欠場が発表された)」

─W杯に向け代表チーム内に“箝口令”を敷いたと聞いています。選手が外部に情報を発信してはならない。インターネットやメールを使って密かにガールフレンドと連絡を取ってはならない。W杯南アフリカ大会の開催期間中は、家族との頻繁な接触もせしてはならず、適切な距離を保たなければならない。このような制限をするのはなぜですか?
「W杯南アフリカ大会の開催期間中は、自分の家族と適切な距離を置き、精神を試合に集中してほしいからです。女性のために心が浮つくことを避け、同じミスを繰り返させないためです。インターネットの情報は様々な独断や偏見に満ちているため、これを制限することで、選手たちが心理的に干渉や影響を受けることを避けるためです」

(取材・文 馬徳興・傅亜雨?殘・・・・詞・・・洫

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