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新生・川崎F、川島&鄭を勝利で送り出せず

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[7.14 J1第11節 川崎F 0-0 大宮 等々力]

 2010年W杯で中断していたJ1が5月16日以来、約2ヵ月ぶりに再開。AFCチャンピオンズリーグの影響のために延期されていた第11節4試合を行った。神奈川県川崎市の等々力陸上競技場では暫定5位の川崎フロンターレと同16位の大宮アルディージャが対戦。両チームともに決定機でミスを犯すなどスコアを動かすことが出来ず、スコアレスドローで終わった。

 川崎Fは守護神の日本代表GK川島永嗣がベルギー1部のリールス、今季5得点の北朝鮮代表FW鄭大世がドイツ2部ボーフムに移籍。そのふたりが見守る中で行われた大宮戦をGK相澤貴志の好守など無失点で締めたが、チームを去るふたりを白星で送り出すことはできなかった。

 この日、DF森勇介とFWレナチーニョを出場停止で欠いた川崎F。4-2-3-1システムのGKは相澤で4バックは右から伊藤宏樹、井川祐輔、菊地光将、小宮山尊信。日本代表としてW杯に出場していた中村憲剛と稲本潤一がダブルボランチのコンビを組み、2列目には右から田坂祐介、谷口博之、ヴィトール・ジュニオールが並んだ。そして1トップは黒津勝が務めた。

 一方、前半戦わずか2勝の大宮は前半戦の最終戦から先発3人を入れ替え、4-4-2システムのGKは北野貴之で4バックは右から杉山新、深谷友基、坪内秀介、村上和弘。金澤慎と青木拓矢が中盤センターに入り、右が市川雅彦、左が橋本早十。ラファエルと石原直樹が2トップに入った。

 前半、主導権を握ったのは大宮だった。前線でボールを収めることのできない川崎Fを尻目に、引いてボールを受けるラファエルがしっかりとボールをキープ。遅攻で相手を崩す場面はなかったが、相手のミスからボールを奪い取ると、そのカウンター、サイド攻撃は十分に得点を予感させるキレがあった。
 6分には右サイドでマークを外した杉山のラストパスがDFラインとGKの間を通過し、11分には左サイドから村上がPAへ侵入する。そして19分には青木のミドルシュートがクロスバーをかすめ、21分にはDFラインの背後をついた青木がGKと1対1となった。また32分には右サイドを抜け出した杉山のラストパスに青木が右足で合わせる。だが、川島と鄭を勝利で送り出したい川崎FはGK相澤が気迫の顔面セーブ。鼻から出血しながらもゴールを死守した。

 川崎Fは20分に伊藤の右スローインをPAで受けた黒津の左足ボレーがゴールを捉えたが、大宮GK北野がビッグセーブ。稲本が中盤で厳しい守備を見せ、CBから右SBへコンバートされた伊藤が効果的な動きをする場面もあったが、鄭不在の影響か攻撃に力強さを欠き、全体的に低調なまま前半を終えてしまった。

 後半3分にはヴィトールがDFラインの背後に落とした好パスに反応した黒津がGKと1対1となったが、敗れれば最下位転落の可能性もある大宮はGK北野が再び好守。また19分には黒津のポストから谷口のグラウンダーミドルがゴールを捉えたが、北野がゴールを許さない。

 流れを引き寄せたい川崎Fは後半24分に谷口に代えてG大阪戦(5月5日)でハットトリックを達成しているMF楠神順平を投入する。26分にはクロスに対応したGKとCBが交錯し、こぼれ球を橋本に詰められるが、ミスキックでクリーンヒットしなかったボールはゴールライン上で菊地がクリア。相手のミスもあり失点を逃れた川崎Fは30分に稲本に代えて横山知伸を投入し、中村を2列目へとスイッチして攻撃姿勢を強めた。

 対する大宮は後半12分にMF藤本主税、33分にはW杯北朝鮮代表MF安英学を送り出し、中盤の活性化を図る。だが好機でミスを犯し1点を奪うことができない。ただ、川崎Fも40分に中村が右サイドのスペースへ落としたボールを伊藤が折り返し、黒津がフリーで走りこんだが決定的なシュートを痛恨のミス。こちらも試合を決めることができなかった。

 この後大宮はFWドゥドゥ、川崎Fは登里享平をピッチへ送り出したがスコアは最後まで動かず。主力の移籍から新たなスタートを切った川崎F、下位からの巻き返しを狙う大宮が激突した注目の再開初戦はスコアレスドローで終わった。

(取材・文 吉田太郎)

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