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金久保がプロ初ゴール。次節さいたまダービーで元同期に宣戦布告

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[9.25 J1第24節 F東京0-1大宮 味スタ]

 14位大宮アルディージャがJ1残留を争う上で貴重な勝ち点3を奪った。負ければ勝ち点で16位のF東京に並ばれる状況だったが、ルーキーのMF金久保順がプロ初ゴールを決めて“裏天王山”を制した。勝ち点を27に伸ばし、降格圏内の16位F東京に6差をつけることに成功した。

 殊勲弾は0-0の後半28分だった。ショートカウンターからラファエルが右サイドを突進してクロス。ファーサイドに飛び込んだのが金久保順だった。角度があまりなかったが、しっかりと頭を合わせて決勝弾。前半から押されていたが、ルーキーがプロ初ゴールで流れを変え、勝利に導いた。

 「勝ち点を見ると絶対に負けられないというのは、誰が見ても分かる。気持ちを入れて臨んだ。DFラインとGKが持ちこたえてくれたんで、後半チャンスが来ると思っていた。FC東京は運動量があって、いいサッカーをしていたけど、90分はできないだろうと思っていた」

 してやったりの表情だった。F東京とはここまで、3勝1分け11敗と相性が良くなかった。案の定、前半途中からF東京ペースとなり、押し込まれる時間が続いた。左の攻撃的MFに入っていた金久保は守備面での負担が多く、なかなか前線に顔を出せなかった。だが「後半勝負だと思っていた。何回かチャンスはあると思っていた」と戦況を分析していたという。

 自身のゴールの4分前には李天秀の右クロスからラファエルがボレーシュート。クロスバーの下をたたき、その跳ね返りはラインを割ったかに見えた。あるF東京選手も「入っていたと思う」という一撃だったが、判定はノーゴールに。この時間帯、F東京の足が止まり、大宮がリズムをつかみ始めたころだった。運に見放されたかと思った中、金久保が勝利の女神を振り向かせた。

 ひと皮向けた。5月にレギュラーをつかんだが、夏場はコンディションを崩し再び控えに回った。しかし、懸命にアピールし、11日の清水戦からスタメンを奪還。3試合連続で先発し、指揮官の期待に答えた。鈴木淳監督は「夏場コンディションを落としてゲームに出ていなかったが、ここにきてだいぶ良くなった。彼の能力からすると、まだまだやれると思う。きょうはよく得点に絡んでくれた」と評価した。

 「入るときは入るんだなと思いました。ずっと“0”かなと思っていたけど、決められてよかった。数字にこだわっていたわけではないけど、攻撃的MFだし、プロに入った以上、こだわらないといけないとも思っている」

 金久保は今後もゴールに絡むことを目標に掲げた。10月2日の次節は浦和との“さいたまダービー”となる。浦和には流通経済大の同期、宇賀神友弥がいる。金久保は「メールして、やっと戦えるなといったら、向こうは足を捻挫したと。治せといってるんですけどね……。2人ともスタメンで出て、大宮が勝つのが理想なんで」と宣戦布告した。戦友との対戦があるかないかは別として、プロ初ゴールで勢いに乗り、天敵撃破に貢献するつもりだ。

<写真>大宮MF金久保
(取材・文 近藤安弘)

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