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柿谷、ライバル高橋&原口と対戦し奮起。ロンドン五輪へ「同世代に負けたくない」

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[10.11 天皇杯3回戦 浦和2-0徳島 駒場]

 徳島ヴォルティスはいい攻撃を繰り出しながらもPKとオウンゴールで0-2敗退した。シュート数も浦和より1本多い9本で、決定機を作りながらの敗戦。両軍最多の4本のシュートを放ったMF柿谷曜一朗は「何度かいい形が作れたけど、決めきれなかったから負けた。それがすべてですね」と悔しがった。

 立ち上がりは徳島がセカンドボールを拾い、ショートカウンターでチャンスを作った。だがシュートはGKの正面を突くことが多く、あと少しの精度を欠いた。相手が徳島のプレスに慣れてきたころ前半31分にPK献上。そして同43分にオウンゴールで失点してしまった。

 同世代にライバルがいただけに、余計に悔しかった。浦和にはU-17など各年代の代表でチームメートだったDF高橋峻希やMF原口元気がいた。前夜は宿舎に高橋が訪れ、健闘を誓い合ったという。柿谷は「峻希とは(敵同士でも)試合をするのは久しぶりなので楽しかった。原口とは2、3回くらい代表で会っただけだけど、向こうはJ1で試合に出ているし、負けられないと思った」とライバル心をのぞかせた。

 柿谷はこの日、左MFで出場。対面には高橋が入った。原口は左MFで先発したが、試合中に再三、右にまわることがあり、マッチアップする場面があった。柿谷は「原口が交代したときは、もっと長く出て、と思いましたね。峻希との1対1は1回くらいしかなかった。もっと仕掛けていけばよかった」と苦笑いした。

 「意識していないといったらウソになる。そこ(五輪を目指すU-21代表)に入らないと意味がない。同世代の選手には負けたくないです。そこに入ることが認められるよう、チームで結果を出していきたい」

 そして改めてロンドン五輪への出場を口にした。現在20歳で五輪を目指すU-21代表世代。2006年のU-17AFC選手権では大会MVPとなり、2007年のU-17W杯ではフランスからゴールを決めるなど世代のエースとして君臨した。しかし、下部組織から所属したC大阪で出番がなく、昨季途中に徳島にレンタル移籍。その後、代表からも遠ざかる日々が続いた。

 11月にはU-21代表でアジア大会に参戦するが、柿谷はこのメンバーには入っていない。同メンバーはJ1の主力の多くが入っておらず1・5軍だが、ロンドン五輪へ向けたスタートの大会。柿谷は強烈に意識している。だからこそ、高橋や原口など同世代が多い浦和に勝利してインパクトを与えたかったのだ。

 「J1相手にどれだけできるかというモチベーションがあった。修正しないといけないところがある。でも、攻撃のところは前半、いいところがった。課題? やっぱり守備のところです。サイドをやってるんで、サイドの守備。監督から言われて理解できてるんですが、まだまだですね。そういうところをやっていきたい」

 この日、J1との久々の対戦で持ち味のテクニックなど、攻撃面は引けを取らないことは再確認できたようだが、守備面などハードワークが足りないことを痛感したという。これは柿谷の積年の課題でもある。

 「まずはチームでしっかりと試合に出て、結果を残したい。まだリーグ戦もあって、J1昇格の可能性も残されている。(高橋や原口と)同じリーグでやれるように頑張りたい」と力強く言い切った。かつて“天才”の名をほしいままにした男は、J2の舞台で泥臭さも身に着け、かつてのような輝きを取り戻すつもりだ。

(取材・文 近藤安弘)


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