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大宮は価値あるドロー。サポの横断幕に石原ら選手が奮起、「変な試合はできなかった」

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[10.24 J1第27節 大宮2-2川崎F NACK]
 大宮アルディージャが意地を見せた。前半開始から11分間で2失点して苦しんだが、後半4分にセットプレーからDF深谷友基が押し込んで1点を返すと、同24分にはゴール前の混戦から途中出場のFW石原直樹が押し込んで同点とし、負け試合を2-2の引き分けに持ち込んだ。
 「2点ビハインドから追いつけてよかった。観客水増し問題の影響? 変な試合はできなかった。0-2になって嫌な雰囲気が流れたけど、3点目は取られなかった。追いつけたことは良かった。サポーターに申し訳ないという気持ちがあった」と同点弾を決めた石原は安堵の表情を浮かべた。
 クラブには激震が走っていた。クラブ幹部主導による“観客水増し事件”が判明した。まだ裁定委員会が開かれていないため、どんな処分が下されるかは決まっていないが、勝ち点剥奪など最悪の事態が起こるのではないかと、選手たちは心配していた。
 この日は問題発覚後、初めてのホームゲームで、試合開始1時間前には渡邉誠吾代表以下、スタッフ23人がピッチ上でサポーターに謝罪するなど、スタジアムは異様な雰囲気に包まれた。サポーターから、渡邉代表らにはブーイングが浴びせられたが、選手には試合中も『積み上げた勝ち点に水増し無し』『試合に集中 俺たちがついている』などと激励する横断幕が掲げられた。
 選手たちはこれに、逆にパワーをもらった。石原は「勝って応えないといけないと思った」と振り返る。前半の戦い方は褒められたものではないが、後半は見違えるように闘争心むき出しに戦った。これに川崎F選手が戸惑い、同点劇につながった。鈴木淳監督も「選手の意地というかビハインドになってもあきらめずに、しっかりとやってくれたことが勝ち点1につながった。勝てなかったが、非常に大きな勝点1」と選手たちを評価した。
 順位は14位のままだが、勝ち点を28とし、J2降格圏16位の神戸に同5差をつけた。強豪・川崎Fを相手に稼いだことは今後につながる。フロントのゴタゴタに選手は辛い思いをしているが、それを晴らすためにも、もちろん応援してくれるサポーターのためにも勝利を求めている。石原は「(15位の)FC東京は引き分けたけど、下位チームが負けている。だからこそ、次が大事になる。いい準備をしたい」と次節・湘南戦の必勝を誓っていた。
(取材・文 近藤安弘)

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