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福岡、「目標の」J1勢再び倒す

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[11.17 天皇杯4回戦 大宮 2-2(PK3-4)福岡 NACK]

 歴史が変わった。アビスパ福岡は現クラブ名となってから初、前身の福岡ブルックス時代の95年以来、実に15年ぶりとなる天皇杯ベスト8進出を成し遂げた。
 2-2で突入したPK戦。「失うものは何もなかった。もともとPKは得意。自分でどっちに跳ぶかの判断をして止めることができてよかった」と振り返るGK六反勇治がシュート2本をストップ。ゴール真後ろに陣取った大宮サポーターのブーイングが鳴り響く中、5人目のキッカーを託されたMF阿部嵩の冷静な右足シュートがゴールを破り、3回戦のサンフレッチェ広島戦に続くJ1勢撃破の物語は完結した。

 アビスパ福岡U-12でプレーしていた小学生時代から、10年以上に渡って福岡に所属するロンドン五輪代表候補のMF鈴木惇をしても、さすがに前回の8強は記憶にないというほど。それでもゲームキャプテンを務めた鈴木は「最後まであきらめなかったし、J2らしく泥臭く戦えた。昨年の天皇杯では鹿島に何もできなかった。でも、それでは終わりたくなかった」と胸を張った。

 相手にボールを支配されることは分かっていた。大宮は直近のリーグ戦から先発11人全てが入れ替わっていたが、技術差は大きく、簡単にパスで急所を突かれた。それでも誰より走り回っていた鈴木をはじめ、後半25分頃に足を攣らせながらも残りの50分間を魂の守備で戦いぬいた山口和樹柳楽智和のCBコンビ、そして残り6分で同点ゴールを叩き込んだFW高橋泰の決定力など、福岡は延長戦を含む120分間大宮に喰らいつく。そしてJ1で戦った時代に一度も果たすことができなかった8強進出。それも2試合連続PK戦とは言え、格上のJ1勢を連破してのものだけに喜びもより大きなものとなった。

 高橋は「サッカーの質、選手の質ともに(J1である)相手の方が上。でもそれを目指してボクらはやってきた。経験を勝ち得ることができた」。目の前に近づいてきているJ1復帰を果たすことがチームにとっての最大目標であることは確か。だが、12月25日にFC東京と戦う準々決勝で、再びJ1勢をアビスパが持つ“ハチの針”で刺し倒すという新たな目標ができた。

[写真]PK戦で2本止めた福岡GK六反

(取材・文 吉田太郎)
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