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「サブ組の意地」福岡、J1昇格争いへ勢いつける勝利

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[11.17 天皇杯4回戦 大宮 2-2(PK3-4)福岡 NACK]
 
 「いろいろな思いがあってすごく気持ちの入った選手が多かった」。後半39分に同点ゴールを決めたアビスパ福岡FW高橋泰は試合後、そう振り返った。

 先発した11人のうち、14日に行われた大分とのJ2第34節に先発したのはFW永里源気ただひとりだけ。その永里も次節出場停止のため、20日の第35節・東京V戦に先発する可能性が低い11人での戦いだった。J1昇格争いが大詰めに差し掛かろうとしている最中、20日、23日、27日と連戦が続くだけに主力が温存された形だったが、この日出番を与えられた選手たちが燃えない訳がなかった。

 昇格争いで本領を発揮したいと思っている選手もいたに違いない。それでもゲームキャプテンを務めたMF鈴木惇は「自分も最近試合に出ることができていない。(でも)ユタカさん(高橋泰)が『しっかり見せ付けてやろう』と言っていた。ここで終わりたくなかった」。その思いをぶつけた。

 鈴木は「昨年まで(の福岡)は苦しいときに失点したら連続失点していた。でも今年は誰が出てもきょうのような試合ができる。これが一番違うところ。ボクがプロになってから一番いいチームになっている」と続けた。過去3年のJ2での順位は07年が7位で08年が8位、そして昨年が11位。低迷していた九州の雄が今季復活を遂げ、残り4試合の時点でJ1昇格圏内につけているのは、粘り強く勝ち点を取ることのできるチームになった部分が大きい。この日先発した選手のうち7人は今シーズンのリーグ戦出場が10試合未満の選手。それでも主力組と同じような戦いを見せてJ1勢からの勝利をもぎ取った。

 「サブ組の意地」を見せたイレブンの試合後の表情は晴れやかだった。次はJ2残り4試合にチーム全員で全力を注ぐこと。06年以来となるJ1復帰が手の届くところにまで来ている。この日J1昇格争いへコンディションを整えることのできた主力組へ向けて高橋は「(先発組は)ボクらの分までやってくれる。よい結果にできるように生かしていければいい」。昇格争いで優位に立っている状況を最大限に生かしてJ1への切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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