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見えない力が働いた2戦連続決勝アシスト、梁「帰ってきたなと」

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[4.29 J1第8節 仙台1-0浦和 ユアスタ]

 見えない力が働いたかのようにボールが戻ってきた。ベガルタ仙台は前半40分、相手陣内右サイドのタッチライン際のルーズボールにMF梁勇基が体を投げ出す。DF宇賀神友弥のクリアは梁の足に当たって跳ね返り、ゴールライン方向へ飛んで行った。

「ボールが上に浮いて、ボールの回転を見たらスピンがかかっていた。ラインを割らないかなと思って走ったら、案の定、止まってくれた。ラッキーはラッキーでした」

 バックスピンのかかっていたボールはゴールラインの手前でワンバウンドし、手前に弾んだ。ボールを拾った梁は完全にフリーの状態だった。

「ヨシ(太田)と赤嶺が(ゴール前に)入ってくるのが見えた。ニアを越えれば入るかなと。フリーだったので、あのへんに蹴って、だれか合わせてくれればと」

 狙い澄ましたクロスにMF太田吉彰が頭で合わせる。23日の川崎F戦(2-1)に続いて梁のピンポイントキックが決勝点をアシストした。

 本拠地・ユアスタで迎えたホーム開幕戦。東日本大震災後、初のホームゲームでもある一戦には格別な思いがあった。

「ここでの試合は自分の中で特別。懐かしいな、帰ってきたなと。幸せな気持ちになれるスタジアムだし、ここでたくさんの勝利を取りたい」

 この日、東北新幹線、仙台市営地下鉄が全線開通。プロ野球の楽天もホーム開幕戦を勝利で飾った。仙台が、宮城が記した大きな一歩。「復興に向けて、少しずつ前進していると思う」。梁は実感を込めて言った。

(取材・文 西山紘平)

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