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角田が、松下が感動、ユアスタが一体となり最後は10人で逃げ切る

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[4.29 J1第8節 仙台1-0浦和 ユアスタ]

 選手もベンチもスタジアムも一体となった。ホームの力強い後押しを受けたベガルタ仙台が気迫と執念で勝ち点3をもぎ取った。球際で体を張り、粘り強く耐える。1点リードのまま迎えた終盤、浦和の猛攻も冷静に跳ね返した。

 後半42分にはMFマルシオ・リシャルデスの決定的なヘディングシュートをDF鎌田次郎がヘディングでクリア。ロスタイムにはDF朴柱成が頭部を負傷し、ピッチ上は10人になったが、最後まで集中を切らさなかった。「みんなで声をかけ合ってできた。セキ(関口)をSBに下げて、FWが中盤に下がって。そんなにすごいピンチはなかったし、落ち着いて守れたと思う」。鎌田は胸を張った。

 東日本大震災後、初のホームゲーム。今季のホーム開幕戦を前に手倉森誠監督は「注目度の高い試合。大きな思いが集まるビッグゲームだ」と選手を鼓舞した。「(復興に向けて)自分たちが先頭に立って進んでいくんだという使命と意志をピッチで示そう」。指揮官のゲキに選手が応え、スタンドの声援が選手の背中を押した。

 今季、京都から加入したMF角田誠は「最高の雰囲気で、楽しかった」と初のホームゲームを振り返った。「アウェーでも気持ちいいスタジアムだったけど、声援がすべて自分たちに来ていると思うと、また違う気持ちになる。これが1年間続くと思うと、モチベーションになるし、もっと力が出てくると思う」。F東京から加入のMF松下年宏は後半30分から出場し、移籍後初出場をホームで果たした。「ホームとして初めてこのスタジアムで試合をして、地鳴りのような声援で、最高でした」と興奮冷めやらぬ様子だった。

 手倉森監督は「今はみんなに勝たせてもらっている」と言う。「スタジアムに集まってくれたサポーター、スタジアムに来ることのできなかった人の思い。そのすべてをエネルギーに変えて勝利をつかむことができた」。自分たちの力だけで手にした勝利ではない。スタジアムで応援してくれたサポーター、すべての仙台市民、宮城県民、そして東北の人たちの支えに感謝し、恩返しとなる勝利をこれからも目指していく。

(取材・文 西山紘平)

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