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心折れる惨敗…最下位・福岡は6失点で残留圏まで勝ち点16差に

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[8.28 J1第24節 鹿島6-0福岡 カシマ]

 心が折れそうになる惨敗だった。アビスパ福岡は今季最多の6失点。最近3試合は終盤に粘りを発揮するなど1勝1分1敗と着実に勝ち点を積み上げていたが、4試合ぶりの無得点で0-6の大敗を喫した。

 背後のスペースを突く縦に早い鹿島の攻撃を警戒し、これまでよりも最終ラインの位置を低く設定した采配が裏目に出た。ある程度ブロックを敷きながら粘り強く耐え、カウンターからワンチャンスを狙ったが、前半19分に早くも失点。焦りから中盤が間延びし、攻撃の形をつくれないまま前半45分に2失点目を許した。

 仕切り直したかった後半の立ち上がり3分にCKから3失点目。ここで完全に集中の糸が切れた。終わってみれば今季最多の6失点。J2時代の09年6月24日、甲府戦(0-6)以来となる大量失点だった。

「球際だったり、相手に付いていくところだったり、セカンドボールだったり、そういう単純なところで相手の方が出足も判断も早く、後手を踏んだことでどんどん流れが悪くなる状況が続いた」。就任5戦目の浅野哲也監督は唇をかむ。

「残り10試合、我々は目標に向かって戦っていくしかない。課題を修正して、今までより少し時間がある。もう一度チームとして何をすべきかハッキリさせて、次の試合に臨みたい」

 W杯予選の関係で今後は2週間のインターバルに入る。中断期間を利用してチームの立て直しを誓うが、現実は厳しい。残り10試合で残留圏となる15位・大宮までは勝ち点16差に開いた。例年、残留の目安は勝ち点35と言われる。現在、勝ち点12の福岡からすれば、残り10試合を8勝2敗のペースで勝ち点を積み上げていく必要がある。

 この日は0-4の後半28分から新外国人のFWハマゾッチを投入。193cmの長身ストライカーを起用したが、「もっと彼をターゲットにした早い攻撃を考えていたが、なかなかそういう場面がなかった」(浅野監督)と連係面に課題を残した。

 ほろ苦いJリーグデビューとなったハマゾッチは「自分が夢の中で考えていた試合ではなかった。自分が入ったときは0-4で、戦術や技術は関係なく、ハートでいくしかなかった」と振り返り、「点を取るため、チームに貢献するためにがんばったが、残念ながら点を取れなかった」と声を落とした。それでも苦しい展開の中、懸命にプレーし、シュート1本。今夏、唯一の補強選手である大型FWに最後の望みを託すしかない。

「次は絶対に点を取りたい。自分はいつも勝ちにいく選手。自分は前向きに、次は勝つためにがんばっていきたい。まだ可能性はあるのだから、ずっと勝ち点3を取っていきたい」。ブラジル人助っ人の悲痛な“叫び”にチームとして応えていけるか。

(取材・文 西山紘平)

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