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大学生に敗戦ショックを振り払い、大宮が大きな白星。ラファエル「勝ち点6の意味を持つ」

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[10.15 J1第28節 浦和0-1大宮 埼玉]

 大宮アルディージャがJ1残留に向けて大きな白星をつかんだ。勝ち点3差で、負けたら順位が逆転する大一番となった埼玉ダービー。エースFWラファエルの一発で1-0勝利し、勝ち点を35に伸ばすと共に、順位も暫定ながら13位に浮上させた。

「ハヤト(橋本)が非常に素晴らしいクロスをくれた。半分は彼のゴールだと思っている。ブラジルでもよく言うが、クロスもラストパスの一つで、まさにその通りのボールだった。彼が合わせてくれ、決めてくれというようなパスをくれた。僕は合わせるだけだった。うまくGKの逆をつけたし、非常に綺麗なゴールだった」

 後半39分、わずかな隙を見逃さなかった。この日、今季リーグ戦初スタメンだったMF橋本早十が左サイドを仕掛けてクロスを入れた。これにラファエルが長身を活かしてヘディングシュート。敵地・埼玉スタジアムで、エースが今季リーグ戦9得点目を決めて1-0勝利をもたらした。

 決めたラファエルも素晴らしいが、橋本のクロスも計算しつくされたものだった。「アシストになる前のクロスで、CBがラファエルに付ききれてなくて、コースに入ってくるだけという場面があった。そこ(CBの頭を)を越せればチャンスになると思っていた。その通りの形で、ラファエルがよく決めてくれた」と狙い通りのアシスだったことを強調した。

「この結果は非常に嬉しく思っている。この試合がすごく大事だと認識していた。このゲームは勝ち点6の意味を持つということを言っていた。結果に現れて非常に嬉しく思う」とラファエル。たしかに大きな勝利だった。負けていれば、浦和と勝ち点が32で並び、得失点差で大宮が15位に後退していた。勝ったことで暫定13位に浮上し、16位に後退した浦和とは、勝ち点5差に広げることに成功した。

 そして自信も取り戻した。10日の天皇杯2回戦。ベストの布陣で臨んだにもかかわらず、福岡大に1-1の末のPK戦で敗れてしまった。J1のプライドが傷つき、自信を失いかけていた。だが大一番で、それもアウェーでライバルを下した。ナビスコ杯を含めると、浦和に5試合ぶりに勝利した形だった。

 だが、エースは浮かれてはいない。「この勝利で自信を取り戻せたことは大きいが、忘れてはいけないのは謙虚さだ。地に足をつけた姿勢は忘れてはいけない。まだ何も得たわけではない。これから厳しい試合を迎える。我々は自信は取り戻したが、しっかりと地に足をつけて、目の前の試合に集中しなければいけない」と説いた。

 たしかに、次節22日には優勝争いをしている名古屋との対戦が控え、その後も、川崎F、鹿島、広島、甲府と難敵を迎える。安堵している暇はない。ラファエルは「これで少し気持ちは楽になったが、まだまだ厳しい試合が続くので切り替えてやっていきたい。これからも大事な試合が続くが、そこでも決められうようにしたい」と言葉に力を込めた。エースは、大宮を自らの力で残留させる覚悟だ。

(取材・文 近藤安弘)

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