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悲願のJ1デビューも「実感も感慨もない」と苦笑のC大阪・山下

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[3.24 J1第3節 川崎F 0-1 C大阪 等々力]

 セレッソ大阪のDF山下達也にとって、待ち望んでいたJ1初出場は思わぬ形で実現した。後半ロスタイム、DF藤本康太がこの試合2度目の警告を受けて退場となる。ベンチのセルジオ・ソアレス監督は、大慌てで山下を呼び寄せた。

 06年から10年までC大阪に在籍していた山下は、能力の高さを認められていた。DF茂庭照幸、DF上本大海(現仙台)も、口々に「日本代表に入れる能力がある」と絶賛していたが、在籍した5年間での試合出場はJ2での16試合にとどまっていた。昨季、出場機会を求めて札幌に完全移籍し、37試合に出場。最終ラインの要として活躍し、J1昇格に導いていた。

 今季もJ1に昇格した札幌でプレーすると思われた山下だったが、古巣のラブコールに応える形で、完全移籍でC大阪に復帰した。J1での出場を目指し、キャンプからアピールを続けたが、茂庭、藤本の控えに甘んじていた。

 それだけにJ1の舞台に立つときは、いろいろな感情が湧いてくるかと思われていたが、そんな余裕のないスクランブルでの出場になった。「J1に初出場したという実感も、感慨もないですね。考えるヒマがなかったです(笑)」と振り返る。

 監督からの指示は「壁に入ってこい!!」だった。「とにかく急いで試合が再開する前に行こうと思って、ピッチに入りましたね。だから、感慨もないです」と苦笑する。川崎FのFKから再開した試合は、C大阪の壁に当たる。そのボールをクリアーした後に、試合は終了。山下はボールに触らないままJ1デビュー戦を終えた。

 だが、藤本が出場停止となる次節・仙台戦ではスタメン出場が確実視されている。「出る可能性はありますよね。しっかりと準備をしたい」と語った山下。対戦相手の最終ラインに上本がいるのも、どこか運命的だ。6年目にして初のJ1のピッチで、これまでの悔しさもすべてぶつける。

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