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復帰戦を白星で飾った大宮・東「次は決めますよ」

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 ケガ明けとは思えないパフォーマンスだった。大宮アルディージャのMF東慶悟は、第3節仙台戦(1-4)の途中に負傷し、その後の3試合を欠場していた。浦和とのダービーで復帰し、何度もカウンターからチャンスをつくった。

 守備ブロックをつくり、カウンターを狙った大宮の前線にはFWラファエルと東しか残っていないことも多かった。それでも、後方からのクリアーボールをしっかりと回収してボールをキープ。そのまま速攻できる状況であれば一気に攻め入り、無理だと判断すれば味方が攻め上がる時間をつくった。「良い形、良い距離間でプレーできたと思います。パス交換できたし、攻撃をコントロールしてくれた」とMF青木拓矢も、復帰を喜んだ。

 2-0で迎えた前半29分と後半7分のカウンターが、この日の東を象徴する場面と言えるだろう。浦和に押し込まれながらも、味方が前線に跳ね返したボールを受けると、一気に前を向いてドリブルで仕掛けて行った。右にはFWラファエル、左にはMFチョ・ヨンチョルが走っている。

 前半29分の場面では、左のチョ・ヨンチョルにスルーパスを通した。すでに1ゴール挙げていたチョ・ヨンチョルだったが、この場面ではトラップが大きくなり、シュートは飛び出したGK加藤順大にブロックされている。「あそこを決めてくれたらラクになったんですけどね」と、注文を付けたが、自身がより悔やむのは、後半7分の場面だ。

 酷似したカウンターの展開で、今度は右のラファエルにパスを出した。シュートがブロックされたラファエルは、ゴール正面に東がフリーでいることを確認すると、ボールを預けた。絶好の得点機だが、東のシュートはGKの正面に入り、ダメ押しの3点目を挙げられなかった。「前半にヨンチョルが外したからというわけではなく、ラファエルが良いスピードで走ってボールを欲しがっていたので(ラファエルに)出しました。あのシーンは悔やんでいます。ラファエルが戻してくれて、ゴールするチャンスだったんですけど…。サッカーで一番楽しい所なのに、思い切ったプレーできなくて、シュートもぼてぼてになってしまった」と悔やんだ。

 それでも、「しっかりチームの戦い方を理解したうえで戦えました」と、東自身も手応えを口にする。ダイナミックにゴールに迫ったが、試合に入る際は慎重なプレーを心掛けていたと言う。「個人的には久しぶりの試合だったので、ミスをなるべく少なくしようと思っていました。あとはチームを外から見ていてバイタルエリアをうまく使えていないなと感じていたので、もっと相手がイヤがるところでボールを受けることを意識してやろうと思っていました」と振り返る。外から見て感じたことを、そのままプレーで見せた。だからこそ充実感が残った。

「オリンピック予選でも連戦が続いていましたが、心も体も休めることができました。今日は、すごく楽しかったですね。お客さんも多いし、幸せなことです。次もホームでできる(28日・札幌戦)ので、連勝したいですね。次は(ゴールを)決めますよ」と笑顔を見せた21歳。U-23日本代表にとって不可欠な存在は、大宮にとっても不可欠な存在であることを改めて示した。昨季はホームでわずか2勝に終わったが、今季は多くの笑顔をNACK5スタジアムにもたらす。

(取材・文 河合 拓)

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