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甘さのあった両チーム、千葉も磐田も未勝利のまま

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[4.11 J1第5節 千葉1-1磐田 フクアリ]

 J1第5節は各地で5試合を行い、フクダ電子アリーナでは17位のジェフユナイテッド千葉と最下位のジュビロ磐田が対戦。ともに今季未勝利チーム同士の激突は、前半19分に千葉がオウンゴールで先制したが、磐田も後半29分にFW前田遼一のゴールで追いつき、1-1の痛み分けに終わった。

 千葉はシステムを4-4-2から4-3-3に変更。GK櫛野亮、4バックは右から坂本將貴、池田昇平、ボスナー、青木良太とDFラインは変わらなかったが、中盤は斎藤大輔がアンカー、アレックスと工藤浩平がインサイドハーフに入る形で、前線は右に谷澤達也、左に深井正樹、中央に巻誠一郎が張った。
 磐田は4-4-2で、GK川口能活、4バックは右から駒野友一、那須大亮、茶野隆行、山本脩斗。中盤はロドリゴと山本康裕が中央に位置し、右に太田吉彰、左に村井慎二。ジウシーニョと前田遼一が2トップを組み、前節のF東京戦と同じメンバーだった。

 試合はホームの千葉が主導権を握った。システム変更がうまくはまり、磐田の混乱を誘った。インサイドの工藤とアレックス、ウイングの谷澤と深井が神出鬼没の動きで相手守備陣を翻弄。積極的に前線まで飛び出すと、巻も空中戦で強さを発揮し、厚みのある攻撃で磐田を押し込んだ。
 前半19分には右サイド後方からのアレックスのFKにゴール前で巻と那須が競り合うと、ボールは混戦の中で那須の体に当たり、転々とゴールマウスに吸い込まれた。
 先制後も千葉の勢いは止まらない。高い位置からのプレスで磐田のミスを誘い、速攻につなげる。前半37分には巻が華麗なリフティングからボールを落とすと、深井がPA外から強烈な左足ボレー。これは惜しくもクロスバーに弾かれた。
 磐田は千葉の流動的な攻撃に対応できず、選手を捕まえ切れなかった。ボランチが押し込まれ、サイドハーフも外に張り気味のため、こぼれ球やセカンドボールを千葉のアンカーにいる斎藤にことごとく拾われ、波状攻撃を受けることになった。
 前線の前田、ジウシーニョの足元にボールが入ったときはチャンスになりかけたが、2人とも引いてパスを受ける場面が多く、裏に抜け出す動きがないため攻撃は単発。完全にゲームを支配した千葉からすれば、2点目、3点目を取っておきたい前半の45分間だった。

 後半に入ると、ロングボール一辺倒だった磐田もシンプルにボールをつなぎ、サイドから攻める形が出始めた。千葉もマイボールになってからの切り替えが速く、カウンターには切れ味があった。目まぐるしく攻守が入れ替わる激しい試合となった。
 磐田は後半18分に村井を下げ、FW萬代宏樹を投入。ジウシーニョが左に張る3トップ気味の攻撃的布陣にシフトし、両サイドバックも高い位置を取るなどリスクを負って同点ゴールを狙った。
 猛攻に出た磐田は一方的に押し込む。完全に守勢に回った千葉も粘り強く耐えていたが、セットプレーから一瞬の隙を突かれた。
 後半29分、駒野のFKに飛び込んだのは前田。マークをかいくぐり、フリーになったエースが頭で合わせ、磐田が試合を振り出しに戻した。
 磐田は後半33分、勝ち越しの絶好のチャンスをつかむ。前田のポストプレーから太田がゴール前に飛び出す。しかし、前田のパスを受けた太田はシュートは決め切れなかった。
 決定機を逃したことで磐田は徐々にアウェーで勝ち点1ならオーケーと考えたか、守備に意識が傾き始めた。これが千葉に流れを明け渡すことになり、終盤は前半同様に押し込まれる時間が続いた。
 ただ、千葉にも相次ぐチャンスを得点につなげる決定力がなく、結局1-1のまま終了。試合を決めるべきところで決められない甘さのあった両チームが、互いに初勝利を挙げられなかったのは当然の帰結だった。

<写真>後半29分、磐田FW前田の同点場面
(取材・文 西山紘平)

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