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ACLの激闘も冷静完封、横浜FM上島拓巳に芽生える自信「連動性や戦術の練度はJリーグが上」

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DF上島拓巳

[3.13 ACL準々決勝第2戦 横浜FM 1-0 山東泰山 横浜国際]

 屈強な壁となり、猛攻を防ぎ切った。横浜F・マリノスは初のACLベスト4入り。数的不利の時間帯もありながら、DF上島拓巳は山東泰山に得点を許さなかった。「この結果には本当に満足している。自分たちの力でここまで勝ち取ってきたんだなという満足感がある」と喜びを噛み締めていた。

 第1戦を2-1で勝利した横浜FMは、ホームに山東を迎えた。第1戦で出番がなかったエースFWクリザンも先発入りすると、山東は前半途中から攻勢を強める。中央からクリザン、両サイドからMFバレリ・カザイシュビリ、MFフェルナンジーニョといった個の力が襲い掛かるも、上島とDFエドゥアルド、そしてGKポープ・ウィリアムが立ちはだかる。

 後半2分にはDF永戸勝也が2度目の警告で退場処分となり、数的不利での戦いへ。それでも上島は冷静を貫いた。「10人になった後も、自分のなかではポジティブに変換できた。耐えるとか守るというのは、僕自身いままでやってきたチームでも経験を多くしてきている」。10人で守り抜くという意思統一が行えたことで、チームはシンプルに動くことができた。

 そして、横浜FMは後半30分にエースFWアンデルソン・ロペスが先制ゴール。同38分には相手選手も退場処分となり、10対10と同数の戦いに戻る。残り時間を守り切った横浜FMが、準決勝進出を決めた。

 屈強な相手攻撃陣も、上島は「やりやすい」と語り、Jリーグでの戦いと比較をする。

「一発のパワーとかスピードは優れている部分もある。だけど、僕が思ったのはJリーグのほうがレベルが高いということ。連動性やチームとしての戦術の練度はJリーグのほうがやっていて高いと思う。(山東は)僕としてはすごくやりやすいというか。相手の守備も強度の部分で落ちるところがあった。マリノスとしてはすごくやりやすいように、スペースを使えた」

 個の力には自信をのぞかせる。「相手は個で殴ってくるような戦い。それに対して冷静に強さを出して対応した」。グループリーグの2試合、そして準々決勝2試合と山東から4連勝したことに胸を張った。

 昨季加入から横浜FMで2年目。ここまで公式戦全試合でフル出場を続けるが「多くの怪我人が戻ってきて、チーム内競争もある」と慢心はない。目指すはJリーグ、そして4月のACL準決勝までの定位置確保だ。準決勝の対戦相手は、柏レイソル時代のチームメイト江坂任が所属する蔚山現代(韓国)。「彼は非常にキーマン。彼のところをいかに潰すかが大事」と元同僚との対戦を楽しみにしていた。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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