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鳥栖U-18が公式戦2か月半ぶりの勝利!! 新潟U-18撃破で決勝T進出に一歩前進

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サガン鳥栖U-18が今大会初白星

[7.24 クラブユース選手権(U-18)GL第2節 鳥栖U-18 2-1 新潟U-18 中央ビジネス石関公園サッカー場]

 昨年度のプレミアリーグ王者が最後に公式戦で勝利を挙げたのは、5月7日に行われたU-18高円宮杯プレミアリーグWEST第5節の横浜FCユース戦(○2-0)まで遡る。あれから2か月半。浮上のきっかけを掴めなかっただけに、久しぶりの勝利の味は格別だった。

 24日、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会のグループリーグ2日目が群馬県内各地で行われ、中央ビジネス石関公園サッカー場では九州第1代表のサガン鳥栖U-18と北信越第1代表のアルビレックス新潟U-18が対戦した。スコアレスで折り返した後半10分に鳥栖がMF池末徹平(2年)のゴールで先制すると、同15分にMF堺屋佳介(3年)が加点。最終盤に新潟のCB山倉渉(3年)に1点を返されたものの、リードを守り切った鳥栖が今大会初白星を挙げた。

「本当はボールを握っていきたいけど、こうやって粘り強くやっていくしかない。その中で精度を高めていくことが大事。今できるサッカーをしっかりやってくれたと思う」(鳥栖・田中智宗監督)

 3-5-2でスタートした鳥栖は立ち上がりから新潟にボールを握られた。ボランチのMF大竹優心(3年)にパスを散らされると、MF石山青空(3年)などにバイタルエリアで仕掛けられてしまう。右のCB黒木雄也(1年)、左のCB松川隼也(3年)も背後を突かれ、自陣で守る時間帯が増えた。守備の時間が長くなり、攻撃に転じるまでに至らない。前半に放ったシュートは僅かに1本。それでも粘り強く戦い、前半をスコアレスで折り返した。

 流れを掴みたい鳥栖は後半に入ると、高い位置からのプレッシングが機能し始める。左ウイングバックのDF林奏太朗(3年)も攻撃センスを発揮。深い位置まで攻め上がるなど、前半とは比べモノにならないほどアグレッシブな姿勢で相手を押し込んだ。

 ゴールへの意識も高まり、サイドからクロスが入る場面が増加。後半9分には左サイドでFKを得ると、林のキックにゴール前でFW鈴木大馳(2年)が頭で合わせる。徐々にゴールの匂いが漂うと、同10分にこぼれ球を拾ったアンカーの池末がパスを散らすのではなく、思い切りよくミドルシュートを放つ。これがGKのキャッチミスを誘い、ゴールネットに吸い込まれた。

 流れを引き寄せた鳥栖は直後の同15分にも決定機を掴む。MF山崎遥稀(2年)のラストパスに抜け出した10番の堺屋が新潟のCB山倉を振り切り、GK内山翔太(2年)との1対1に持ち込む。最後は冷静にシュートを決め、リードを広げた。

 以降は新潟に攻め込まれる時間帯が増え、最終盤は何度もゴールを脅かされた。「終盤は攻め込まれたので、(何度も終盤に失点していたリーグ戦の出来事が)頭を過ったかもしれない」とは指揮官の言葉。同33分にCKから山倉に決められると、その後のアディショナルタイムではセットプレーから2度ピンチを迎えた。それでも選手たちは集中力を切らさずにタフな守りで応戦。試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちは感情を爆発させて喜びを露わにした。

「(勝ち切れないことでメンタル面が)ナーバスになっていたし、シンプルに力不足だった。それを再確認して認めた上で、しっかり前進していけるようにみんなで声をかけながらやってきた。1つ勝てたので、変わるきっかけになってくれたらいい」(田中監督)
 
 勝利を掴んだことで、チームにとっては失った自信を取り戻す契機になる。また、今大会はターニングポイントにするために新たな戦い方を模索しており、そうしたトライの中で凱歌を揚げた価値は大きい。

「3枚の左に置きたい気持ちもあるけど、奏太朗の運動量と左足のキックを生かすというところで今大会はサイドで起用している。その理由は、今回のクラブユース選手権はチャレンジする場にしたいから。最終ラインを3枚にして戦うのは今季初めてだけど、プレミアリーグの後半戦に向けて何かきっかけを作りたい。そのために1試合でも多く緊張感のあるゲームを戦うことが目標です」(田中監督)

 選手たちも意欲的に取り組んでおり、クラブユース選手権に懸ける想いは強い。

「プレミアリーグの後半戦に向けて、このクラブユース選手権で絶対に変わりたい。(初戦の)栃木戦で敗れた後に改めてチームで話し合いをして、みんな戦う意識を持てた。だから、勝つことができたと思う」(林)。

 栃木SC U-18との初戦では前半終了間際にPKで先制点を許して敗れるなど、まだまだ課題はある。だが、徐々に調子が上向いているのも事実。1勝1敗として決勝トーナメント進出の可能性を残し、26日に行われる大宮アルディージャU18とのグループリーグ最終戦に向けて手応えは十分。昨季のプレミアリーグ王者が今夏に完全復活を果たせるか。新潟戦の勝利を足掛かりに真夏のビックトーナメントを一気に駆け上がる。

(取材・文 松尾祐希)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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