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鹿島ユースがエース・徳田誉の一撃で崖っぷちから生還!! 京都U-18を下して決勝T進出決定

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後半AT決勝弾で勝利の鹿島アントラーズユースがGL突破

[7.26 クラブユース選手権(U-18)GL第3節 京都U-18 0-1 鹿島ユース 伊勢崎市華蔵寺公園陸上競技場]

 勝利を掴めば、自力でノックアウトステージ進出を決められる状況だった。しかし、敗れれば敗退。引き分けでも他会場の結果を待たなければならない。そうした状況下で後半アディショナルタイムまで0-0のスコアレス。同組の岡山U-18が大量リードしており、鹿島アントラーズユースはこのままいけば敗退となる。崖っぷちに追い込まれた鹿島を頼れる2年生エースが救った。

 26日、第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会のグループリーグ3日目が群馬県内各地で行われ、伊勢崎市華蔵寺公園陸上競技場で鹿島は京都サンガF.C.U-18と対戦。0-0で迎えた後半アディショナルタイムにFW徳田誉(2年)が決勝点を奪い、27日から開催されるノックアウトステージ進出を決めた。

 23日の初戦で岡山に1-2で敗れた鹿島は1勝1敗の2位で最終戦を迎えた一方で、京都は2連勝で首位。ともに勝てば自力で予選通過を決められるシュチュエーションだったが、引き分けでも突破が決まる京都と比べれば、鹿島が難しい状況にあったのは間違いない。

 まさに背水の陣――。「全精力を注ぎ込む大事な試合」と柳澤敦監督が話すように、鹿島にとって京都戦は総力戦だった。

 しかし、そうした想いとは裏腹にチームは序盤から苦戦を強いられる。大川佑梧(2年)と坂本翔汰(3年)のCBコンビを中心に粘り強く守った一方で、攻撃陣が京都の守備網を打開できない。中盤で潰し合う展開となり、MF平山京吾(3年)と主将・MF小倉幸成(3年)のボランチコンビがボールを繋げず。「前半は得点が取れなくて、難しい展開になった」とはDF松本遥翔(2年)の言葉。ゴール前で崩す場面はほとんどなく、前半は決定機を作れなかった。

 こう着状態が続くと、柳澤監督が動く。後半9分、怪我明けで今大会は途中出場が続いているU-17日本代表の徳田と右SB池田健将(3年)をピッチに送り込む。右SBの松本を一列前に入れ、攻撃の活性化を図った。

 指揮官の思惑通り、徐々にリズムが出てくると、サイドをえぐるシーンが増えていく。左サイドハーフの壱岐健斗(3年)と右サイドハーフの松本がクロスを入れられるようになり、185cmの徳田と182cmの大山幸路(3年)の2トップに良い形でボールが入る場面が増加。後半11分には左SB佐藤海宏(3年)のクロスに徳田、15分にも右サイドを崩した流れから再び徳田がゴールを狙った。

 攻勢を強めたが、肝心のゴールが奪えない。スコアレスのまま時計の針は進み、残された時間はアディショナルタイムの7分のみ。選手たちの耳に入っていなかったが、同組の岡山は8-1でいわきFC U-18をリードしており、このままでは敗退する状況に追い込まれた。

 すると、勝利を目指し攻め続けた鹿島に千載一遇のチャンスが訪れる。後半35+1分、池田が右サイドからロングスローを入れると、セカンドボールをうまく拾ってゴール前に繋ぐ。壱岐が頭で折り返すと、最後は徳田が飛び込む。怪我に苦しんでいた2年生エースが頭で合わせ、予選突破を手繰り寄せるゴールを奪った。

 ゴールが決まった瞬間、選手たちは喜びを爆発させる。あとは守り切るだけ――。残された時間は、敵陣でボールをキープしながら時計の針を進めていく。最後まで集中力を切らさなかった鹿島が勝利。得失点差と総得点で並んだ京都を直接対決の結果で上回り、2位でグループリーグを突破した。

「諦めずにやる。自分自身もそういうつもりで最後の最後まで指示を出し続けました。それに応えてくれた選手たちに感謝をしたい」

 大一番で奮起した選手たちのパフォーマンスに賛辞を送り、いつもは険しい表情の柳澤監督も思わず表情を緩めた。

 今季はプリンスリーグ関東1部で首位を走るなど好調をキープしてきたが、今大会は黒星スタート。それでも2戦目でいわきを5-0で下し、最後は京都を土壇場で振り切った。劣勢でも動じずに結果を残してきたチームに対し、指揮官も成長を感じ取っている。

「同じ方向を向いてまとまろうとしている。それは本当にいい部分。失点が多いチームだったけど、(昨日も含めて)京都戦も無失点で終えられている。ボコボコのピッチでも最後の局面で高い精度のパスを出せるようになってきた」

 まだまだ課題は多いが、タフに戦いながら一歩ずつ前進してきた。27日の決勝トーナメント1回戦ではプレミアリーグ勢の大宮アルディージャU18と対戦するが、弾みが付く形のGL突破は追い風になる。崖っぷちから生還した鹿島に怖いモノはない。一致団結し、初優勝を目指して走り続ける。

(取材・文 松尾祐希)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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