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勝負強さ増した王者・専修大、連覇へ後期白星発進

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[9.15 関東大学1部第12節 専修大2-1東京学芸大 味フィ西]

 第86回関東大学サッカーリーグ戦関東1部リーグは15日に第12節を行い、連覇を目指す首位・専修大はFW飯田裕之(4年=津工高)とMF長澤和輝(3年=八千代高)のゴールによって2-1で東京学芸大を破った。

 前期11試合で33得点を挙げ、得点数では2位に10点差。「攻撃的で美しいサッカー」を掲げる王者の圧倒的な攻撃サッカーを楽しみに会場を訪れたファン、関係者にとってはもしかすると物足りない内容、結果だったかもしれない。それでも専大は確実にステップアップし、新たな強さを手にしようとしている。

 源平貴久監督は「追われる中で粘り強く勝てることが大事になってくる」。守備の柱であるCB栗山直樹(4年=清水東高)が左膝前十字靭帯を断裂して後期リーグ戦の出場は絶望。この日は190cmFW大西佑亮(4年=鹿島ユース)が体調不良の影響によって欠場したほか、目の負傷でMF河津良一(2年=作陽高)も先発を回避するなど、万全のメンバー構成はできていない。また昨年は後期を8勝2分1敗で駆け抜けたが、それまで全日本大学選手権の出場歴もなかった昨年と、全国王者として戦っている今年とでは対戦相手の警戒の度合いも全く違う。もちろん目指すサッカーに変わりはないが、優勝するためにはどれだけしぶとく勝ち切ることができるかがポイントであることをチームは理解している。

 そういう面で見ると専大は勝てるチームになってきている。夏の総理大臣杯も関西大を延長戦で、中京大をPK戦でそれぞれ下すなど苦しい戦いを乗り越えて決勝進出。ここで力尽きて阪南大に屈したが、ダブルエースの一角であるFW仲川輝人(2年=川崎F U-18)が「(負けた直後の)ロッカールームですぐに切り替えていこうという声が出た。自分たちは切り替えが早いんです」と語ったように、すぐに新たなターゲットを確認し、リーグ連覇へ照準を絞ってやってきた。今夏は大学選抜メンバーの海外遠征などによって主力不在の期間が長く、万全の準備ができた訳ではないが、それでも後期初戦でしっかりと負けない強さを証明した。

 3トップの頂点に仲川、トップ下に長澤を配置したこの日はサイド攻撃が機能せず、前線でのボールのおさまりも良くなかった。足元から足元へのパスが多く、相手の背後を狙う動きも少なかった。MF鈴木雄太(4年=津工高)が中盤の底の位置から飛び出しシュートへ持ち込むなど、ゴールへ迫る場面が何度もあった一方でボールを失う場面が目立ち、カウンターから東学大のMF山崎直之(3年=F東京U-18)に中央突破される場面も何度か見られた。

 それでも前半27分、中央からMF下田北斗(3年=大清水高)が右サイドへ展開すると、右SB北爪健吾(2年=前橋育英高)のクロスボールを「(北爪)健吾からいいクロスが上がってきた。決めるだけだった」という飯田が頭で合わせて先制ゴール。普段に比べて少なかったサイド攻撃による決定機をゴールへ結びつけると、37分には長澤と仲川のコンビでゴールを陥れる。左中間からの仕掛けで相手DFを引きつけた仲川からのパスを長澤が右足で叩きこみ、2-0と突き放した。

 現在最下位で1部残留のためには勝ち点1でも加えたい東学大はMF茶島雄介(3年=広島ユース)、MF佐々木陽次(3年=F東京U-18)ら攻撃力のある選手たち中心に反撃を試みるが、専大はPAまで持ち込まれてもCB鈴木雄也主将(4年=武相高)が必死に足を伸ばしてボールをクリアし、本来の中盤ではなく栗山の代役としてCBを務める本名正太朗(3年=川崎F U-18)や北爪が最終局面での厳しさを見せた。後半開始から1年生MF菅佑也(駒場高)を投入した東学大は29分にその菅のスルーパスから茶島が右足で追撃ゴール。好守を連発していたGK谷口健太(3年=流通経済大柏高)の健闘も支えに粘った東学大だったが、42分にMF佐藤聖(2年=三菱養和SCユース)が放った右足シュートがGK正面を突くなど、もう1点を奪うことができなかった。

 勝った専大だが、指揮官が指摘する通り、今後も苦しい試合が出てくるはず。栗山不在は確かに痛いが、それでも長澤、下田、北爪、そして仲川と全日本大学選抜で経験を積み著しい成長を見せているメンバーたち中心にチーム力を向上させる。圧倒的な試合も見せる一方で勝負強さも発揮する王者が連覇へ向けて白星を重ねる。

[写真]前半27分、先制ゴールを喜ぶ飯田(右)とアシストの北爪
(取材・文 吉田太郎)
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