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同点PKを獲得の町田 FW平本「半分は北井が取ったPK」

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[10.7 J2第37節 東京V 1-1 町田 味スタ]

 途中出場して、試合の流れを大きく変えた。FC町田ゼルビアのFW平本一樹は、1点を追う後半12分にピッチに投入されると、劣勢を強いられていたチームに流れを引き戻した。アルディレス監督も「平本が入ってからの時間帯と、それまでの時間帯では、全く違う試合内容だった」と、その活躍を絶賛した。

 後半39分にはPA内に入り、ドリブルで縦へと仕掛けると、対応した東京ヴェルディのMF中後雅喜の足がかかり、PKを獲得する。「左利きだったから、中に行かれないようにしたところで、逆を突かれた」と中後は悔しがった。このPKをFWディミッチが決めて、町田は1-1の引き分けに追い付いた。

 自身が獲得したPKを蹴らなかったことについて、平本は「自分が取ったPKは、自分で蹴らないというのが自分のポリシーなんですよね」と明かした。「PKを取るのがいいんです。(PKを)取って、(自分で)蹴ってゴールしちゃうと、何かイヤなんですよ。得点王になる選手でもPKを蹴って得点王になっている人もいるけど、なんか違うんじゃないかなと思うんですよね」と、独自のこだわりを口にした。だからこそ、平本が倒された瞬間、ボールを蹴りたそうなディミッチが目に入ると「そんなに欲しそうにしなくても、譲るのになって思いました」と笑い、「でも、しっかりと決めるのはスゴイこと」と付け加えた。

 指揮官も絶賛する活躍だったが、平本自身は「途中から前の選手が出てチームが活性しなかったら、入った意味がない」と、当然のことだと言う。また、活躍ができたのには、スタメン出場したFW北井佑季の活躍があったからだと、前線で豊富な運動量を見せ続けた小柄なアタッカーを称賛した。

「前半から北井が飛び出しを続けてくれていたから、相手の中盤にはスペースが空いていた。シンプルに抜けてくれるだけで、相手のCBが下がる。その下がってできたスペースを使うかどうかは、その選手の判断。僕はそこを使うのが好きなので、特に北井に感謝です。あれ(北井のプレー)ね、やり続けるのは結構しんどいんです。マイボールにもしていたし。点を取った人ばかりに注目が集まりますけど、ああいうのがあって得点が生まれる。あれが素晴らしい。僕がPKを取れたのもアイツがああいう状況をつくってくれたおかげだから、半分はアイツが取ったPKです」と、北井に感謝した。

 勝ち点1を加えた町田だが、J2残留を争う富山が鳥取に勝利し、勝ち点を32に伸ばしたため、最下位脱出はならなかった。それでも平本は、「今の状態で先制されるというのは、普通の状況ではない。特別なキツさがある。それでも、その状況から同点に持ち込むことができた。チームが精神的に成長したと思う」と、手応えを語った。残り5試合、残留を賭けた争いは激化するが「引き分けたことはすごく大きいし、次につながる。今日のように追いつくことができて、負けなければ、おのずと残留できると思う」と、周囲に流されずに、勝ち点を取り続けることが大事だと強調した。

(取材・文 河合拓)

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