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[第18回フットサル全日本選手権]現役引退の名古屋FP木暮「感謝しかない」

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[3.17 フットサル全日本選手権 決勝 名古屋4-4(PK4-3)フウガすみだ 代々木]

 悔しい気持ちを押し殺し、最後は笑顔で現役生活を終えた。名古屋オーシャンズの日本代表FP木暮賢一郎は、17日に行われたフットサル全日本選手権の決勝のフウガすみだ戦でベンチ入りしたが、出場機会はなかった。試合後はFPラファエル・サカイに肩車されながら、場内を一周する引退セレモニーも行われた。

 ピッチに立つ時間はなくとも、ベンチでは積極的に選手たちに声を掛け、最後まで戦った。MIPを受賞したFP吉川智貴も、木暮に感謝する。「今日だけじゃなくて、僕が名古屋に加入してからのこの1年間、本当にいろんなアドバイスをもらいました。グレさんの最後の試合で絶対に勝って優勝したかった」と、語った。木暮も「優勝できて良かった。(試合に)出られなかったことは残念ですが、カズさん(横浜FC・三浦知良)にも『ベンチにいても常に準備することが大事だ。今、オレもそうだよ』と言われていたんでね。今大会もいろんなチームの選手たちと会うこともできましたし、良かったです」と、仲間たちに見守られての最後を喜んだ。

 ピッチに立てない状況について、木暮自身は割り切っていたが、家族のことを思うと胸が痛んだ。涙を浮かべながら、木暮は彼を最後まで支えてくれた家族に「感謝の言葉しかない。最後の数か月は、試合を見るのも、本当につらかったと思います。それでもずっと応援してくれて、感謝しています」と、謝意を伝えた。

 現役最後の試合の相手が、フウガすみだになったことも、きっと何かの縁だったのだろう。引退セレモニーには、かすみ夫人も駆けつけ、木暮に花束を渡した。8年前、木暮がスペインに渡る直前に出会った当時、かすみ夫人は、フウガすみだの前身チーム、森のくまさんでマネジャーをしていたのだ。そして、森のくまさんの選手たちが、真剣にフットサルに取り組むきっかけとなったのが、木暮がかつて所属していたチームに大敗をしたことだった。

 試合後、木暮の下に挨拶に来たフウガすみだの須賀雄大監督も「僕らがフットサルにのめり込んだのも、グレさんたちのチームと戦ったことがきっかけだったんです。(当時、別のチームに所属していた)太見たちも、選手権の東京予選で1-15と大敗してから、フットサルにのめり込んだので。本当にありがとうございました。お疲れ様でした。これからも一緒にフットサル界を盛り上げていきましょう」と、感謝の言葉を伝えた。

 今後、木暮は指導者となり、フットサルW杯優勝を目指すために、指導者ライセンスを取得する。「僕が現役時代、一番長く所属していたチームは日本代表なのでね。そこで現役時代に勝ち取れなかったW杯優勝を、今度は監督として果たしたいと思います」。フットサル界をさらに発展するための、前向きな決断。自身の引退をそう語る木暮は、これからも先頭に立って、フットサル界を引っ張っていく。
(取材・文 河合拓)
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