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自らの誕生日と観戦した祖父母に贈った決勝点!柏FW工藤「持っている」

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[5.6 J1第10節 柏2-1横浜FM 柏]

「個人的に今季で一番気持ちいいゴール」。柏レイソルのサポーターだけでなくFW工藤壮人自身も納得のミドルシュートが、決勝点となった。後半15分、DF増嶋竜也、FWクレオを経由したボールが工藤の足元に入ると、ボランチのMF富澤清太郎をかわし、右足を一閃。ボールは弧を描きながらDF中澤佑二とDFドゥトラの間を抜け、最後はGK榎本哲也の右側もすり抜けてネットを揺らした。

 この試合は工藤にとって2つの大きな意味合いを持っていた。1つはこの日、5月6日は自身が23歳を迎える誕生日だったことだ。「誕生日というのは意識していなかったですけど、決められて『持っている』なと(笑)」。第8節大宮戦(0-4)終了後には見られなかった改心の笑顔を見せた。

 もう1つは福島県から祖父母が観戦に訪れていたこと。「これから先いつ来れるかわからないので、どうにかゴールと勝利を見せたかった。逆に“プレゼント”できてよかったです」。自らの誕生日弾より、家族にゴールと勝利を贈れたことに、満足した様子だった。

 工藤だけでなくチームにとっても、横浜FM戦に懸ける想いは強かった。ACLでは4勝2分けの無敗で16強入りを決めているが、リーグでは3勝1分け4敗の11位。リーグとACLのW制覇を目指す柏にとって、序盤とはいえ、これ以上首位から勝ち点を離されるわけにはいかなかった。「上に行くのか、下に行くのか決まる試合」とネルシーニョ監督から檄を飛ばされていたと工藤は明かした。

 チームの2試合ぶりの勝利とともに、自身も2試合ぶりのゴール。7得点目を挙げて得点ランキングでは2位タイに浮上した。第5節名古屋戦(3-3)ではDF2人を前にしながら単独でのドリブルシュートを決め、この日はPA外からの豪快なミドルシュート。これまでのゴール前で合わせて点を取るストライカーから、ひと皮むけた印象がある。「チームが必要なときにゴールを決められる選手になりたい」。柏の新たな“象徴”は、さらなるレベルアップを自らに課していた。

(取材・文 奥山典幸)

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