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[選手権予選]「最終章の国立をボクらが歩けるように」玉野光南がPK戦制して全国王手!!:岡山

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[11.4 全国高校選手権岡山県予選準決勝 岡山学芸館2-2(PK5-6)玉野光南 笠岡陸上競技場]

 4日、第92回全国高校サッカー選手権岡山県予選準決勝が行われ、ともにプリンスリーグ中国勢の岡山学芸館と玉野光南との一戦は2-2で突入したPK戦の末、玉野光南が6-5で勝利。04年度以来7回目の全国大会出場まであと1勝とした。玉野光南は10日の決勝で大会8連覇中の作陽と戦う。

 先制された玉野光南が後半開始直後に追いついて1年生FW桑田大樹のゴールで逆転し、後半アディショナルタイムに岡山学芸館が左SB藤原郁巳(3年)のゴールで延長戦へ持ち込む劇的な展開。そして強風吹き荒れた延長戦を経て突入したPK戦は4-4で5人目を終える。両校イレブンの祈りと応援団の歓声の中で迎えた7人目、先攻・岡山学芸館のCB小坂田有希央(2年)のシュートを「止めた時は最高でした。PK自体は得意な方だと自分は思っている。試合の中で仲間たちに助けてもらったのでPKではボクが助けたいと思っていた」という玉野光南GK山本克弥(3年)が左へ跳んでストップ。直後、FW中塚啓太(3年)が左足シュートをゴールヘ流し込むと、右手を突き上げて走りだした中塚ら玉野光南イレブンが、スタンドから飛び出してきた控え部員たちと抱き合って喜びを爆発させた。

 高校総体予選とプリンスリーグ中国での対戦はすべて1-0で決着し、玉野光南の2勝1敗。玉野光南の乙倉健二監督は「客観的に見て、戦力的に53パーセントくらい握られているかなと思っていました。(その中で少しでも勝利に近づけるように)『こんなところまで言うのか』というか、言い過ぎなくらい相手の情報を選手に伝えて送り出しました」という。実力的には五分五分、互いが相手を知り尽くした中でどのような差をつくることができるか。対戦相手の個人の特長まで細かく頭に入れて戦った玉野光南がPK戦の末、接戦を制した。

 先制したのは岡山学芸館だった。前半7分、MF福岡孝紀(3年)がスペースへボールを送ると、いち早く走りこんだFW石原宏一(3年)が左足ダイレクトでシュート。飛び出してきたGKよりも一瞬早く放たれた一撃がゴールヘ吸い込まれて岡山学芸館がリードを奪う。先制した岡山学芸館はその後もパンチ力のある右MF萩原康平(3年)の右足ミドルやMF草加健瑠)(3年)のボール捌きから追加点を狙っていく。

 ただ失点後、主導権を握って攻めていたのは玉野光南の方。19分には左コーナー付近でボールを奪い返したFW中井レアーズ(2年)がPAへ持ち込んでから右足を振りぬき、32分にはカウンターから左サイドでDF2人をぶち抜いた中井のラストパスを左SB塩田晃大(1年)が左足で合わせた。また35分には塩田晃の右FKのこぼれ球を10番MF古矢涼(3年)が決定的な左足シュート。そして乙倉監督が「どうやっても武器なんで、それをどう活かすか」という古矢の驚異的なロングスローやMF後藤大輝(2年)、塩田晃のキックなど得意のセットプレーを駆使して同点に追いつく。

 後半5分、玉野光南は後藤の左CKのこぼれ球をCB久山隆一(3年)がボレーシュートで決めて同点。さらに古矢のロングスローなどから決定機をつくり出した玉野光南は後半33分、左MF土居晃貴(1年)とのコンビから塩田晃が左足で絶妙なクロスを放り込む。これをニアサイドへ走り込んだ桑田が頭でゴールへ押し込んで勝ち越した。同じく先制された準々決勝でも、前半途中から投入されてチームに勢いをもたらしていた1年生のゴールで玉野光南が勝利へ近づいた。

 だが、あきらめない岡山学芸館は後半アディショナルタイムに左サイドでの切り返しでDFを外した藤原の右足シュートで同点。延長前半8分には玉野光南の中塚と桑田が立て続けにビッグチャンスを迎え、その後半は風上に立った岡山学芸館がゴールヘ押し寄せる。後半ラストプレーで同点に追いつかれた玉野光南にとって、失点による傷が深かったことは間違いない。ただ主将のCB野上浩平(3年)が「負けるという気持ちにはならなかった。(失点が)ラスト1プレーだったのでがくっときたのもあるんですけど、先生から『絶対、決勝へ行くまでにPK戦は1回はあるぞ』と言われていた。そこまで焦ることもなかった」と振り返ったように、気持ちがブレなかった玉野光南は押し込まれた延長後半を耐えて、PK戦で決勝進出を決めた。

 玉野光南は今年が創立30周年の記念イヤー。絶対王者・作陽の連覇を止めて全国切符を掴むことができるか。野上は「学校が30周年というのもあるので学校の勢いも借りて、(作陽戦は)難しい試合になるとは思いますけど、最終章の国立をボクらが歩けるように頑張ります」。堅守と中井ら前線のタレント、そしてセットプレーと自分たちの武器を駆使して全国舞台に立つ。

[写真]PK戦で試合に決着をつけるシュートを決めた玉野光南FW中塚がガッツポーズ

(取材・文 吉田太郎)
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