beacon

[総体]多彩な戦術駆使する関東予選準優勝校・常磐、澤口ハットで群馬4強入り

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.15 全国高校総体群馬県予選準々決勝 常磐高 3-1 高崎商高 太田総合]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)群馬県予選は15日、準々決勝を行い、関東大会予選準優勝校の常磐高がFW澤口和輝(3年)のハットトリックの活躍によって高崎商高に3-1で勝利。新島学園高と戦う準決勝へ進出した。

 4~5月の関東大会予選では1年時からレギュラーを務めてきたFW平野和弥主将を右足の大怪我で欠きながらも、前橋育英高をPK戦の末に下すなど準優勝。関東大会出場を果たした常磐の野間健彦監督は今大会開幕前「前回(準優勝)より上を目指す。その上は、優勝しかないぞ」と選手たちにメッセージを送ってスタートした。その常磐は桐生商高との初戦を3-2で制すと、この日も3点を先取して高崎商に勝利。14年ぶりの全国大会出場へまた一歩前進した。

 複数の戦術を使い分けて戦う常磐はこの日、高いディフェンスラインを構築し、前線からの守備で相手を押し込みにかかった。序盤は膠着した展開だったが、右MF栗田大輔(3年)の馬力のあるドリブルや身体の強さに自信を持つ澤口のキープ力などを活かして徐々に試合の流れを引き寄せると、22分にはDF佐藤樹生(2年)の左ロングスローから2年生の技巧派MF副田健一郎がヘディングシュート。そして24分にはディフェンスラインの背後へ抜け出した澤口が「GKが出ているのが見えた。ループで狙いました」とやや前目のポジショニングをしていたGKの位置を見逃さずに左足ループシュートを決めてリードを奪う。

 さらに25分に連続得点。佐藤が投じたこの日5回目の左ロングスローをDF奥山徳弘(2年)が競ると、中央へ流れたボールを澤口が右足のジャンピングボレーでゴールへ突き刺して2-0とした。その後も27分に栗田の突破から副田が右足シュートを放ち、32分にも栗田が右サイドを縦に運んで最後はニアサイドでパスを受けた澤口が1タッチでシュート。37分には澤口の右CKからゲーム主将のMF片岡雅(3年)がクロスバー直撃のヘディングシュートを放つなど、完全に試合の流れを傾けた。好守からカウンターを繰り出す高崎商も、攻守両面で奮闘していたMF中野脩汰主将(3年)や左SB芹澤亮樹(3年)の攻撃参加から反撃。41分にはカウンターから中央を持ち上がったMF中村柊斗(3年)が右足シュートを放つ。

 なかなか相手の守りを脅かす攻撃ができていなかった高崎商だったが、後半立ち上がりにラッシュ。前への勢いを強めると3分にはカウンターから中村が右オープンスぺースへボールを送り、走りこんだFW瀬間将太(3年)がPAから右足シュートを放つ。ただ、常磐は直後の5分、栗田の右クロスを澤口が頭でゴール左隅へねじ込んでこの日3得点目。これで白星を大きく引き寄せた。

 だが、高崎商は8分に中村の右CKを中央へ飛び込んだ中野が右足ダイレクトで合わせて1点を返す。これで息を吹き返した高崎商が猛反撃を開始。12分にはディフェンスラインの背後に落ちたボールに猛然と走りこんだ右SB戸田涼太(2年)が右足シュート。これは距離を詰めたGK和田進馬(2年)にセーブされたが、早めにクロスを入れ、遠目の距離からシュートを撃ちこんで会場を盛り上げる。常磐はラインを下げて対応しようとしたが、これが上手く移行できず。また攻撃が散発になってしまったために高崎商を勢いづかせてしまった。ただ指揮官が「守備をしっかりしてくれた」と振り返ったように、DF石原範之(3年)や佐藤、奥山がPAに相手を近づけず。高崎商は33分に交代出場のDF山田大輔(3年)の好クロスに中村が飛び込むなど攻め続けたが、2点目を奪うことができなかった。

 この日は試合中の移行がスムーズにいかなかったものの、常磐のスタイルは繋いだり、ロングボールを活かしたり、引いて守ったり、相手によって戦術を変えるハイブリッド型。「ウチはチャンピオンじゃないし、ウチよりも強いチームはいる。そこに勝たなければいけない」(野間監督)とトレーニングから、いろいろな戦い方ができるチームを目指して構築してきた。関東大会では甲府城西高(山梨)を1-0で下して1勝。Bブロック優勝の浦和東高(埼玉)に敗れたものの、戦い方を変えた後半に副田が2度ゴールマウスに当てるシュートを放つなど、強敵を苦しめた。結果が出続けて、自信を増しているチームの今大会の目標はあと2勝。平野は「(この日も1ゴールを決めたが)自分たちはセットプレーが強い。(関東大会に出場したことで)チームにとっていい感じの自信になっている」と語り、「優勝を狙っていきたい」と力を込めた。

[写真]前半25分、常磐FW澤口が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2014

TOP