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日本代表メンバー発表 アギーレ監督会見要旨

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 日本代表のハビエル・アギーレ監督は28日、都内で記者会見を行い、9月5日のウルグアイ戦(札幌ド)、同9日のベネズエラ戦(日産ス)に臨む日本代表メンバーを発表した。

以下、会見要旨

ハビエル・アギーレ監督
「みなさん、こんにちは。ここから新しいステージが始まる。このプロジェクトに一丸となって臨みたい。初戦から戦うチーム、競争力のあるチームの姿を見せたい。常に勝利を目指して戦うチームを見せたいと思っている。もちろん2、3回の練習でいいサッカーを最初から見せるのは難しいことだと思う。現在の我々の目標はこの試合をしっかりと戦って、選手のことをしっかりと把握して、最終的にアジア杯でいい結果を残すことにある。この短い視察の期間で、11人のJリーグの選手を招集した。そして欧州でプレーしている12人の選手と融合させたいと思っている。ウルグアイ戦、ベネズエラ戦で見せたいのはしっかり戦って、勝利を目指すチーム。できるだけいいサッカーを見せるチーム。日々、向上させていきたい」

―このメンバーでどういうサッカーをピッチの上で見せていきたいか?
「相手よりボールを持つチーム。相手より攻撃を仕掛けるチーム。だけどバランスの取れたチームを見せたい。最初は日々のトレーニングから始めるが、簡単ではないと思う。しっかりスペースを使いながらボールを扱って、相手よりボールを持つ状況をつくること。失ったらすぐに奪い返しに行く姿勢を見せたい。特に賢いチームでなければならない。ピッチの各エリアで何をしなければいけないのか。その仕事を把握しているチームでないといけない」

―初選手の5人を選んだ意図は?
「私は過去のリストを見て選んだわけではない。手倉森、早川、霜田さん、彼らの意見を聞きながら決めた。私と私のスタッフでたくさんの試合の視察にも行ったし、ビデオもたくさんチェックした。そして、この2試合のことを考えてベストだと思えるメンバーをリストアップした。もちろんこれからも選手は見ていく。過去の代表に入っていたかどうかを基準にするのではなく、選手を選んでいきたいと思う」

―就任会見では選手に日の丸を付ける意識を持ってほしいと話していたが、それは今回の合宿でも選手に求めるか?
「もちろん。日本代表の一員であることに誇りを感じて戦わないといけない。どの大会でも日本のサッカー、そして日本に対する誇りを持たないといけない」

―Jリーグを視察した印象は? キャプテンは決めているか?
「私も、私をサポートしてくれているスタッフもJリーグの試合をたくさん見た。自宅でもたくさんのJリーグの試合の映像を見た。まだ若いリーグで、成長し続けているリーグ。チームによっては、戦術を厳格に遂行していると感じた。そしてもう一つはフェアプレー。日本のサッカーはフェアプレーの一つの究極の姿を見せていると思う。汚いプレーは少なく、カードも少ない。非常にクリーンなプレーだと思う。この2試合のキャプテンに関しては、最終的には私が決定するが、選手たちにも相談していきたい」

―この2試合でメンバーを入れ替えてたくさんの選手を見ていくのか? 今後、どういう選手を代表に残していくのか?
「できるだけ多くの選手を見たいと思っている。難しいことだが、23人とも使いたいと思っている。これは選手たちが、パスしないといけないテストでもある。アジア杯の前に6試合ある。それをパスした選手たちがアジア杯に進む」

―初陣の舞台となる札幌への印象は? 札幌でどんなスタートを切りたいか? この合宿でまず何を浸透させたいか?
「欧州からのフライトが2つのグループに分かれて到着する。新しいプロジェクトを始めるのに札幌は理想的な場所だと思う。対戦相手もトップレベルの非常に良い相手。ウルグアイ戦の前に3つのトレーニングセッションがある。時間はあまりないが、意欲と質の高さは十分だと思う」

―初選出の5人を選んだポイントは?
「これはゼロからのスタートであり、一人の話をしたら23人の話をしないといけない。全員がゼロからスタートして、どの11人がスタメンになるかを考えていく。若手なのか、ベテランなのか。初招集なのか、すでに代表でプレーしたことがあるのか。Jリーグ組なのか、海外組なのか。そういった区別はしない。全員が日本代表だ」

―23人を選ぶにあたって最も重視したことは?
「質の高さだ。私が見て、そして日本のサッカーをより長く見ている私のスタッフも見て、意見を交換し合った結果、質の高い選手が彼らであるということ」

―ケガで招集しなかった香川は昨季からマンチェスター・ユナイテッドで出場機会が少ないが、プレーの環境を変えたほうがいいと思うか? 監督もよく知っているスペインリーグのバレンシアの名前も挙がっているが、彼はスペインリーグに適していると思うか?
「今回、招集した選手に敬意を払うという意味で、招集しなかった選手の話はしたくない。ただ、香川は最初のリストに入っていたので、例外的に少しコメントする。スペインリーグはイングランドのリーグとは少し違うと思う。しかし、シンジがプレーできるビッグクラブはどちらにもあり、彼は通用すると思う」

―FWに新しく入った皆川と武藤の2人に期待するポイントは?
「2人とも他の選手のケガによって招集される形になった。若くて、攻撃的で、ハングリーな選手たちだと思うので、代表に合っていると思う」

―選手が代表に生き残っていくために監督が最も重視しているポイントは?
「仲間と協力的であること。しっかり責任を果たすこと。そこだと思う」

―広島で大きな災害があったが、監督からメッセージがあれば。
「もちろん私も報道は見ているので、たくさんの方が亡くなったことも知っている。亡くなった方々のご家族にお悔やみを申し上げたい。協会としてどういった支援をするのかということは現時点で私は把握していないが、個人的に力になれることがあれば協力したいと思っている」

―日本代表は各カテゴリで過去にフェアプレー賞を受けてきたが、監督は過去に退席処分を受けたこともあると思うが?
「私は15年間監督をしているが、12年間いたスペインで2回退席処分になった。メキシコ代表では80試合で1回の退席処分があった。メキシコリーグには5年間いたが、1回の退席処分があった。日本代表はこれからもフェアプレー賞をもらえるでしょう。ヒールになって、相手をケガさせたり、悪意のあるプレーをしたりすることはない。もちろん激しく戦う。それは信じてほしい」

―最初のミーティングでは選手にどんな声をかけるか?
「最初のミーティングで何を行うか。みなさんと同じように、初めて会った人に自己紹介を行う。そして、これはゼロから始まる新しいプロジェクトであるということを伝える。ロシアで誇りを持って戦えるチームをつくるために、4年間という長い時間があるということも話したい」

―「相手よりボールを持つチーム」という話があったが、それはアジア杯を見据えてポゼッションサッカーを考えているのか? それとも4年間の方向性として考えているのか?
「ウルグアイ戦もベネズエラ戦も、質の高い経験を積んだ選手のいるチームとの戦いなので、楽な試合にはならない。しかし、長期的な目標は先ほど言ったとおりだ」

―試合で先発起用する11人もW杯メンバーが軸ではなく、新しく考えるということか?
「もちろんそうだ。W杯が終わってから時間も経っている。ここからゼロからのスタート。この23人の中で最も状態の良い選手たち、直前の練習で私のやりたいことを最も理解する選手たちを選びたい」

―就任会見でチームのキーワードとして「コミットメント」という言葉を出したが、その意味で選手にどういう姿勢を求めるか? 選考過程の中で技術委員の霜田氏が「走れない選手、戦えない選手はこれからいなくなるのではないか」という感想を話していたが、監督もそういう基準で選んでいるのか?
「私の経験から話すが、試合は90分ある。1試合90分の中でインプレーの時間は45分から48分ぐらいで、半分しかない。それ以外は、レフェリーが笛を吹いてプレーが止まっている時間、スローインになっている時間、あるいは給水しているという時間になる。ピッチには22人立っている。ボールは1個。平均を割り出すと、一人あたりボールを2分持っていると、44分で、同じぐらいになる。私が選手であれば、2分ボールを持っていることになる。88分はボールを持っていない。その88分の中で選手が何をしているのか。私はその部分を見ている。チームに対するコミットメント、チームに対する責任、チームのことを考えるという部分で、そこを見ている。シモさん(霜田氏)がそういうふうに言ったかどうかは知らないが、そのとおりだ。走らない選手は呼ばれない」

(取材・文 西山紘平)

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